1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小山 静子 立命館大学, 理工学部, 教授 (40225595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆文 金沢経済大学, 経済学部, 助教授 (20288260)
小股 憲明 大阪女子大学, 学芸学部, 教授 (70117919)
鈴木 良 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70179274)
伊藤 武夫 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60018794)
菅井 凰展 立命館大学, 理工学部, 教授 (70071230)
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Keywords | 新制中学校 / 高校三原則 / 総合制 / 男女共学 / 生徒会 / 不良・非行 |
Research Abstract |
戦後京都の教育史に対する研究会メンバーの共通認識を形成するために、これまでの研究が明らかにしてきた研究成果を把握するとともに、その疑問点や残されている今後の課題を検討していった。そこで得られた知見は次の通りである。(1)新制中学生の成立にあたっては、京都軍政部の強力な介入が存在していたこと、そしてその背景には、京都を民主教育のモデル地区にしたいという軍政部の意向が存在していたこと、(2)京都には高校三原則が長期間にわたって存続しており、それが京都の高校教育の大きな特徴であったが、三原則の中でもとりわけ総合制をめぐっては、早い段階からその賛否をめぐる議論が存在していること、そしてこの議論のあり様を考察していくためには、総合制教育の実態に迫っていく必要があること、(3)男女共学が存続していく背後には、高校生の半数以上が男女別学の私学へと進学していく現実が存在していたこと、(4)戦後民主教育を実地に体験する場として生徒会活動が重視されていたが、高く評価されているわりにはその内実は不明確であり、その具体的なあり様をもっと検討せねばならないこと、(5)京都では多くの公立大学が戦後創設されたが、創立にあたって必ずしも十分な議論が尽くされてはおらず、その結果、財政問題など多くの問題が噴出していくこと、(6)学校や家庭から「逸脱」し、「問題」を起こす子どもたちが「不良」や「非行」としてとらえられていくが、そこには教育的まなざしの変化が存在していること。以上の6点が、この1年間の研究で得られた知見であり、来年度以降に残された課題でもある。
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