1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09610289
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Research Institution | KOBE SHINWA WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮崎 和夫 神戸親和女子大学, 文学部, 教授 (20229826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 清治 佛教大学, 教育学部, 専任講師 (20278469)
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Keywords | 災害 / 学校 / 避難所 / 教師 / 阪神淡路大震災 |
Research Abstract |
実証的研究の方法として(1)質問紙法による大量調査と(2)事例研究の2つの方法を採った。(1)(2)とも研究成果報告書『災害時における学校と教師の役割に関する実証的研究』にまとめてあるが、主な点を下記に記す。 (1)質問紙法では、阪神・淡路大震災で避難所になった285校(小学校186校・中学校82校・高校34校)の全教員約8,200人を調査対象とし、各校の避難者数に相関させて調査対象者3,221名を抽出し(抽出率39.0%)質問紙郵送法で調査した。3,199通の有効郵送数の中で、有効回答者数は904名(有効回答率28.3%)であった。 (1)地震当日、学校へ出勤できた教員は49.9%、その交通手段はマイカー56.2%、自転車16.3%、徒歩13.7%、自動二輪12.2%。そして26.1%の教員が「勤務校にこだわらず、自宅近くの学校へ出勤した方がよい」としている。(2)授業の再開は地震後2週間で63.3%、4週間後には94.3%と比較的速い立ち直りを示している。(3)児童・生徒への特別な配慮では、「精神的支援」がトップで42.7%、次いで「学習の遅れ」が20.2%、生徒指導が13.7%の順。これらの数値は8ケ月以上を経過しても減少せず、地震による学習の遅れがなかなか挽回できないこと、避難所暮らしなどで子供たちの生活が安定しないことを示している。(4)避難所の運営における教員の仕事では、「来訪者や電話の取り次ぎ」16.9%、「救援物資の仕訳や保管」16.5%、「各種情報の収集と伝達」14.5%などが主な仕事内容で、(5)つらいことは、「トラブルの仲裁」で38.5%、(6)教員が感じたストレスの主な原因は「上司との人間関係」81.2%、「自分や家族の被災問題」55.7%、「授業や学習の遅れ」41.3%、「避難してきた人たちとのトラブル」36.8%、「生徒指導」33.9%となっており、教員は自分自身も被災者でありながら、授業の遅れを取り戻さなければと責任を感じる教育者であり、さらにまた避難所の運営者でもあるという三重の役割を課せられた苦悩の状況が出ている。 (2)事例研究では、1000人以上の避難民を収容した学校の中から神戸市立神戸商業高校を抽出し、延べ約40回にわたり訪問し、面接法で調査取材し、また報告書やその他多くの記録や文書を提出いただいた。それらをもとに教員の声や状況のみならず避難民と生徒の状況と声が取材できた。避難民が生活している講堂での卒業式や入学式、生徒のボランティア活動、教師は遺体の収容や管理から水が出ず数百人の溜った糞尿の処理に追われ、一方では避難民のトラブルの仲裁に苦悩する教職員の姿が浮き彫りにできた。 避難民に対する支援活動などは全て避難所単位でおこなわれるので教職員が24時間体制で行政と避難民の連絡調整にあることになり、一方では授業や生徒の生活指導をしなければならず、かつ、自分も被災家族を抱えている者としての苦悩がみられた。
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Research Products
(1 results)