1997 Fiscal Year Annual Research Report
教育改革の比較社会学的研究-市場化がもたらすもの(日英を事例に)-
Project/Area Number |
09610297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | College of Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
加藤 潤 名古屋女子大学短期大学部, 助教授 (80194819)
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Keywords | 市場原理 / 教育の自由化 / マルチメディア教育 / フリースクール / オプティング・アウト |
Research Abstract |
本年度の研究では、以下のような進捗を知見を得ることができた。 1、1992年から93年にかけてイギリス教育改革をめぐって起きた、学校、教師対政府の葛藤を扱った記事(全国紙及び地方紙(ケンブリッジ市内))をほとんどすべてレビューし、複写もしくは一部データベース化した。その結果、教育の市場化をめぐる葛藤は、これまでいわれてきたような、保守対労働党のイデオロギー対立でもなければ、住民の階層対立でもないことがわかった。すなわち、そうした二元的対立ではなく、学校の経営危機や教師の職業的世界の崩壊、そして、住民の地元校への愛着といった、様々な変数の相互作用によって生まれた意識のズレであることが明らかになった。今後は、よりミクロなフィールドワークを平行して積み重ねる必要がある。 2、イギリス教育改革に関する基本的文献、教育白書等政府文書の収集をほぼ終了した。同時に、わが国の近代教育発達史における「教育の自由化」と「教育の規範性」をめぐる議論、言説を収集整理する作業に着手した。次年度以降、さらに、教育界雑誌、教育学言説を明治期まで逆上って検索する予定である。 3、イギリス教育改革をめぐる葛藤の実態を意識レベルで明らかにするための聞き取り調査の準備がほぼ終了した。具体的には、エクセタ-州周辺を調査地点にする計画を立てている。現在、エクセタ-大学教育学部へ調査の可能性を打診中である。これは次年度以降の主要な作業となる。 次年度以降は、英国におけるフィールド調査と同時にわが国における教育の自由化運動(フリースクール運動)の実態調査を進めていくつもりである。また、本年度収集したイギリス教育改革をめぐる記事、論文等は順次データベース化し、「名古屋女子大学イギリス教育改革関係データベース」としてホームページ公開を計画している。
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Research Products
(2 results)