1997 Fiscal Year Annual Research Report
学校選択の自由化と教育の活性化に関する実証的研究 -現代イギリスの市場原理に基づく制度改革の分析
Project/Area Number |
09610305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Center Test for University Admissions |
Principal Investigator |
山村 滋 大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (30212294)
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Keywords | UK / School choice / Secondary School Admissions System / Open Enrolment / Educational Policy / Secondary Education |
Research Abstract |
本研究は、イギリスの学校選択制度が学校教育の質・水準の向上に資するのか否かを明らかにすることを課題とするものである。そのために、3年計画の初年度である本年度は、(1)各地方自治体での中等学校進学制度の分析を行った。すなわち、イギリスの地方教育当局の発行した、進学手続きに関する父母向けの手引き書を収集し、中等学校進学制度の最も基本的な構成要素である、選抜性の有無、通学区域の設定に関して、志願者が定員を上回った場合にどのような志願者を優先して入学させるかという優先基準について、分析を行った。その結果、分析可能な情報の得られた103の地方教育当局の進学制度は、六つのタイプに分類することができた。そして、地域との緊密性を保つこと、教育上の連続性、効率的な資源の活用等を重視するLEAは、「小学区制」を採用していた。一方、学校間の多様性や親の学校選択をより重視しようとする立場をとるLEAでは、通学区域の設定はしていなかった。前者は、優先基準においても、通学区域内に居住という条件を重視する傾向があるのに対して、後者は、兄・姉が在籍していることを優先する傾向が見られた。つまり、理念的には、総合制の理念を制度の基礎に据えている場合と、市場原理によって教育水準を向上させようとする理念に基づく場合が、その両極にあることが解明できた。 このほかに,次年度への準備として、(2)イギリスの学校選択論者の諸論の収集、(3)各中等学校の校外試験の結果の収集とコンピュータでの分析のためのその入力、(4)1988年教育法関係の国会議事録の収集を行った。
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