1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610305
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Research Institution | NATIONAL CENTER FOR UNIVERSITY ENTRANCE EXAMINATION |
Principal Investigator |
山村 滋 大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (30212294)
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Keywords | UK / School Choice / Secondary School Admission System / Open Enrolment / Education Policy / Secondary Education |
Research Abstract |
本研究は、イギリスの学校選択制度が学校教育の質・水準の向上に資するのか否かを、実証的に明らかにすることを課題とするものである。そのために、3年計画の最終年度である今年度は、昨年度に発送した、学校選択の自由化に関する調査票(イギリスの中等学校長を対象)回答結果について分析を行った。なお、回答率は45.9%であった。 分析にあたっては、(1)学校への学校選択の自由化の影響を学校内部、対父母、学校間の三つの次元で見る、(2)教育水準の変化、(3)競争の有無とその結果(勝者・敗者)および、社会階層・貧困との関わり、という視点を設定した。 分析の結果、以下の諸点等が明らかになった。(1)学校選択の自由化によって、生徒の獲得競争が、イギリス各地でひろくみられること。(2)生徒獲得競争に勝利した学校と敗れた学校を比較すると、勝者は、学校選択の自由化が生徒の学習への利益をもたらし、教育水準が向上したと評価する傾向があるのに対し、敗者は否定的に評価する傾向があること。(3)スタッフのモラールについても勝者は向上したと評価するのに対し、敗者は、否定的であること。(4)学校は、生徒の父母を、パートナーとしてよりも、消費者としてみるようになったこと。(5)敗者となった学校は、貧困層が大きく通う傾向があること。(6)敗者となった学校で、特別の教育の必要性(Special Educational Needs)への対応がより困難になった。
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