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1999 Fiscal Year Annual Research Report

近代日本の伝染病対策と検疫体制の成立過程

Research Project

Project/Area Number 09610329
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

内海 孝  東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (50193917)

Keywords伝染病 / 検疫
Research Abstract

本年度は、一昨年、昨年度にひきつづき、外務省外交史料館ならびに国立公文書館での史料調査と収集活動を継続的に、中心におこなった。
その結果、(1)予期した以上の量的にも、質的にも、本研究テーマに供するにいたる資料が収集され、(2)そのため資料の整理と分析作業に、当初予定どおりには必ずしもとりかかることができなかったが、(3)旧来の研究史を克服することができる新しい知見をみるにいたっている。
たとえば、そのひとつとしては、従来、明治12年(1879)7月の海港虎列刺病伝染予防規則をして、日本で「最初の統一された検疫規則」で、それはただちに検疫停船規則として改名改正されたが、実際には明治32年まで適用されることがなかったといわれてきた(厚生省編『検疫制度百年史』)。
ところが、本研究の分析過程において、明治11年9月、長崎港で「検疫規則」に照準して外国船が日本側の検疫と港外への停船を命じられ、それに従ったことが判明した。
しかも、その後、日本側のこの検疫処分にたいして、外国側が日本政府に停船損害金を請求し、日本政府はそれを不当とし、長崎の上等裁判所に出訴するにいたった。
この事件は、翌年1月、当該国の船長が帰航するにあたって、検疫処分の損害請求の取消を申出たことで落着している。これは、いままでの研究史のなかでは、まったく知られることがなかった事件であるが、本研究はこのように、収集した資料を整理、実証的に分析し,従来の研究にたいして新しい知見をくわえつつある。
と同時に、海港検疫法が明治32年7月に施行されるまでの検疫実態の統計的分析は、資料がなかなか発見されていないことを反映して、不十分であるといわざるをえない状況でもある。

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Published: 2001-10-23   Modified: 2016-04-21  

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