1999 Fiscal Year Annual Research Report
帷幄上奏制度の実態研究-帷幄上奏書データベースの作成-
Project/Area Number |
09610332
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永井 和 京都大学, 文学研究科, 教授 (40127113)
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Keywords | 帷幄上奏 / 統帥権 / 軍部 / 政軍関係 / 日本近代政治史 / 天皇親裁 |
Research Abstract |
今年度は武官人事以外の分野で、帷幄上奏がいつからはじまったのかを明らかにするため、防衛防衛研修所所蔵の旧陸軍省文書を調査した。以下の点を確認することができた。 1.軍隊の移動・交代が参謀本部長の帷幄上奏を天皇が裁可して発令された最初の例は、明治12年6月12日の軍令であった。その内容は、沖縄派遣の熊本鎮台兵の交代、鹿児島派遣熊本鎮台兵の帰営、福岡へ熊本鎮台兵一大隊の分屯を西部監軍部へ命じたものである。これが帷幄上奏による軍令であったことは、「陸軍省日誌」の記述と「参謀本部歴史草案」の説明によって確認できた。 2.各鎮台、近衛が実施する行軍演習は、明治12年までは各鎮台・近衛からの演習実施の伺に対して、陸軍参謀局長と協議の上、実施指令を出していたが、明治12年10月以降、参謀本部長が、各鎮台・近衛の計画を上奏し、天皇の裁可を仰いだうえで陸軍卿に移して下令する方法がとられるようになった。 3.すでに明らかにしたように、明治12年には武官に職務を命ずることが天皇の軍令大権のカテゴリーにくみいれられており、明治12年は天皇が軍隊を直率する体制が名実ともに進展する画期的な年であった。
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Research Products
(2 results)