1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610334
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 路人 大阪大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (40144414)
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Keywords | 鳴物停止令 / 畿内近国非領国地域 / 大坂周辺地域 / 郡触 / 領分触 / 用聞 / 大坂町奉行 / 京都町奉行 |
Research Abstract |
今年度は、畿内近国非領国地域における支配の特質を明らかにする試みの一つとして、鳴物停止令の伝達のあり方を検討した。 鳴物停止令とは、為政者やその近親者が死去した際、一定期間鳴物や普請を停止するよう命じた触のことである。これには、触対象地域の領主やその近親者が死去した際に出されるものと、天皇や将軍、あるいは大坂城代など、国家的あるいは地域的重要人物の死に際して出されるものの2種がある。今回は、享保〜延享期(1716年〜1748年)に出された後者の鳴物停止令を取り上げ、これが非領国地域である大坂周辺地域に、どのように伝達されていったのかを分析した。その際、まず大坂に対して町触として出された鳴物停止令(A)を明らかにし、これを基準として、大坂周辺の大名領(古河藩領)に出されたもの(B)および代官支配地に出されたもの(C)との比較・検討を行った。 その結果、(1)鳴物停止令は、大坂町奉行から郡触(郡を単位に幕領・私領の区別なく触れられるもの)という形では出されることがなく、各個別領主が領分限りに触れる領分触として出されたこと、(2)誰が死去した際に鳴物停止令が出されるのかという点については、B・Cともに、Aとはかなり違いがあること、(3)しかし、触の内容に関しては、Bは、Aに準拠して出されたものが多く、その際、大名に抱えられた用聞が重要な役割を果たしていたこと、(4)Cは、京都で出されたものに準拠している場合が多く、これは京都町奉行による上方八ヵ国代官支配の反映であると考えられること、の4点が明らかになった。 以上の成果は、近日中に論文として発表する予定である。
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