1997 Fiscal Year Annual Research Report
平安時代初期における西海道の地域政治史的研究-西海道諸国地域史からみた大宰府支配について-
Project/Area Number |
09610335
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西別府 元日 広島大学, 文学部, 助教授 (50136769)
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Keywords | 大宰府 / 西海道 / 国府 / 国分寺 / 観世音寺 / 続命院 / 続日本後紀 / 墨書土器 |
Research Abstract |
今年度の研究は、基礎史資料の収集と九州諸地域における当該期の社会状況の把握に重点をおいて、史料調査や現地調査を実施した。基礎史料の収集としては、続日本紀・日本後紀・続日本後紀・日本文徳天皇実録・日本三代実録などから西海道・大宰府関係記事を抄出、カード化することにつとめた。とりわけ、社会構造の転換期ともいわれる9世紀中葉の正史である続日本後紀については、錯簡も多いので国立国会図書館・国立公文書・史料編纂所などに架蔵の数点の写本を収集した。これらの対校は次年度の課題であるが、書写伝本の経緯に一定の見通しをたてることができた。また9世紀の大宰府の状況を寺院縁起の立場から記した歓世音寺資材帳についてもレプリカ(東京芸大所蔵)ではあるが、活字史料との校合を行った。その結果、従来の活字史料では読みとりにくい箇所などについて数点の新しい知見をえた。九州諸地域の社会状況の把握のためには、各地域の埋蔵文化財調査の成果を掌握する必要があるため、熊本市・佐賀市・福岡市・福岡県豊津町・大分市・鹿児島市などの埋蔵文化財調査機関や公立図書館などで調査報告書についての閲覧などをおこなった。また西海道の地方政治を考えるうえで、特徴的な歴史事象と関連する地域(例えば佐賀県三根町、福岡県犀川町、熊本県豊野村など)については、現地調査をおこない数々の新知見をえることができた。さらに、埋蔵文化財調査報告書の閲覧などの際には、9世紀以降に頻出しはじめる墨書土器などの出土文字資料の収集状況などについても確認した。現在、宮崎県・大分県・鹿児島県・豊前地域などで出土文字資料の収集作業がおこなわれており、これら地域の研究者と連絡をとりながら、関連資料の収集につとめたが、本格的な整理は次年度にもちこすこととなった。
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