1998 Fiscal Year Annual Research Report
平安時代初期における西海道の地域政治史的研究-西海道諸国地域史からみた太宰府支配について-
Project/Area Number |
09610335
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西別府 元日 広島大学, 文学部, 助教授 (50136769)
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Keywords | 西海道 / 太宰府 / 続命院 / 観世音寺資財帳 / 浄水寺 / 国府 / 墨書十器 / 貿易陶磁器 |
Research Abstract |
今年度は昨年度の基礎史資料の収集と九州諸地域における当該期の社会状況の調査結集の整理をはかる一方、後者の現地調査をひきつづき実施した。整理の一環として、前年実施した九州の「ゾクミョウイン」(続命院)という特異な地名を有する佐賀県三根町、福岡県犀川町、福岡県筑紫野市の現地調査の結果をふまえて、その歴史的意義の考察をおこなった。その成果を、11月島根県浜田市に開催された中国四国歴史学地理学協会大会の日本史部会で報告し、参加者のご指摘・ご教示をいただき現在成稿化を急いでいる。 また、観世音寺資財帳の校合から、古代の土地制度の地目論に関する問題点についての知見をえたので、その方面についての研究史の整理をおこない考察を深めつつある。さらに前年調査を実施した熊本県豊野村浄水寺跡について、その定額寺化と西海道地域の歴史的展開との関連性についての一定の見通しがたったので、現在その関連資料・文献を収集するとともに、内容上の深化を模索している。 埋蔵文化財関連については、今年度は福岡県の西部(豊前地域)と宮崎県さらには鹿児島県の国府関連地域の現地調査を実施した。墨書土器については豊前地域に関して資料的増加をみたが、この間の研究過程で、南九州地域における越州窯青磁の出土について関心が深まり、その動向を調査するために日向国府推定地、薩摩国府の現地調査と現地での関連資料の収集を実施した。ただ、貿易陶磁器については、編年や現物調査、事例報告の有無、その多寡などつめるべき課題が多く、これらの点については今後の課題となっている。
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