1997 Fiscal Year Annual Research Report
宮都空間の歴史的変遷を通じてみたる日本古代後宮制度の基礎的研究
Project/Area Number |
09610336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
橋本 義則 山口大学, 人文学部, 助教授 (60164802)
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Keywords | 宮都 / 内裏 / 後宮 / 女官 / 女性 / 空間 |
Research Abstract |
本年度は科学研究費補助金交付の一年目に当たり、本年度を今後四年間の研究を推し進めるための基礎固めの年度と位置付け、基礎的研究条件を整備するとともに、これと並行して研究を進めた。研究条件整備の第一は、研究環境整備のためパソコンを購入し、これまで収集してきた関連史料・資料をパソコンを用いて整理するとともに、新たな史料・資料の収集を行い、さらに研究推進のため簡易データ・ベースの作成を行った。またインターネットを利用した史料・資料の収集も併せ試みた。第二は、直接あるいは間接に関連する史料及び資料を収集するための調査を行った。まず女官が奉仕する空間に関する最新の発掘調査成果を把握するため奈良国立文化財研究所で藤原・平城両宮の資料・情報の収集を行い、また東京国立博物館及び内閣文庫において女官に直接あるいは間接に関連する文献史料を調査した。以上のような研究環境の整備及び調査のもと、本年度以前及び本年度に行った研究に基づく成果の一部は、まず「平安時代のトイレと便器に関する予察(一)」と題し、奈良国立文化財研究所での「トイレ遺構の総合的研究」検討会において、平安時代の天皇・貴族の排泄行為とその空間について報告し、その中で平安時代の天皇の周りで日常的に奉仕する女官のうち厠人・長女、御樋殿女官あるいは樋洗などに関する収集史料を提示してその奉仕の実態と場について報告した。また国立国際日本文化研究センターでの共同研究「公家と武家」研究会において、「律令国家と喪葬」の題のもと、古代の貴族・官人の喪葬制度について発表し、奈良時代から平安時代への変化が律令国家の氏族政策の変化によるものであり、しかもその根底に氏の変貌と家の自立があることを明らかにした。これは本研究の背景となる社会の変化とそれに対する国家の対応についての基礎的研究である。
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