1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
渡辺 信夫 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (60004032)
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Keywords | 港町の成立 / 東廻海運 / 蔵米輸送 / 石巻穀船 |
Research Abstract |
本年度は、従来の海運史研究に欠けている海運と都市間の流通機構との関係を明らかにする視点から、港町の流通機構の形成と海運の展開を港町石巻を事例に研究を進めた。石巻に港町が成立し遠隔地間の海運機構が本格的に形成を見るのは近世初期である。元和・寛永期に北上川改修によって北上川舟運が開通し、河岸場を共通にする石巻門脇、住吉、湊の町場が設定され、元禄期にかけて各町場を統合し港町石巻が形成される。それは北上川舟運と石巻〜江戸間の海運の中継都市の形成で主に蔵米輸送のためであった。海船・川船、河岸場・蔵米などの保管蔵、造船所などの水運諸施設が町の中核に寛文・元禄期にかけて整備された。また、この時期に町を構成する家持層のほかに水主など水運労働者から構成される借家層が急増することを明らかにした。この港町の発達は東廻海運の刷新による江戸への蔵米等の大量輸送に対応する都市の確立であった。蔵物輸送に規定される港町の都市構造は近世を通して変らず、海運が幕藩領主の支配下で展開していたことと密接に結びついていた。一方、海運は仙台城下町の特産的流通機構と結び、蔵米輸送の石巻穀船の帰り荷に城下特権商人の江戸注文荷を積むことを半ば義務付けられていた。廻船の自由な取引活動が規制されていたのである。この点は平成10年度の研究として進める江戸〜八戸間海運においても指摘できる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 渡辺信夫: "奥大道から奥州街道へ" 市史せんだい. 7. 30-38 (1997)
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[Publications] 渡辺信夫: "東北の交流史-船と人馬による交流-" 東北開発研究. 107. 54-62 (1998)
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[Publications] 渡辺信夫編: "東北の歴史再発見" 河出書房新社, 304 (1997)