1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610379
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
斉藤 泰 秋田大学, 教育学部, 教授 (00047888)
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Keywords | 原スイス永久同盟 / 渓谷共同体 / 神聖ローマ皇帝 / 皇帝特許状 / 同盟文書 / スイス連邦 / ハ-プスブルク家 / 帝国ラント平和令 |
Research Abstract |
13,4世紀神聖ローマ帝国国制との構造連関の中で,スイス連邦の成立と発展を捉える基本視点を据えて,1291年原スイス永久同盟の国制史的背景を実証的に究明した。まず,皇帝と原スイス地方の渓谷共同体の関係を,13世紀の皇帝(国王)特許状を手掛かりに分析した。その結果,渓谷共同体は,皇帝・国王との結び付きを絶えず堅持しながら,帝国国制の枠組の中で、渓谷の指導層および共同体の利害を自ら擁護するのに努めていた。こうした皇帝・国王の後ろ盾があって,初めて原スイス永久同盟が盟約されたのである。この同盟が,13世紀の帝国ラント平和令の諸条項を継承し、そのラント平和条項をより一層徹底した形で盟約されているのが,現存する1291年同盟文書の内容分析から解明された。原スイス永久同盟の基本的あり方は,1315年更新されても変わらず,皇帝・国王との国制的関係を維持しながら,渓谷内外のラント平和を誓約で遂行していた。ただ,ハ-プスブルク家との利害対立は漸次激化し,とりわけ14世紀中頃以降,同家の領域拡大政策に対抗するために,諸同盟への拡大と同時に,改めて皇帝(国王)特許状の威力が大きくなる。スイスが国家的輪郭をはっきりさせてくるのは,まさに14,5世紀,皇帝・国王との密な繁がりを一貫して求めながら,ハ-プスブルク家に対抗し、また,そのために原スイス永久同盟を軸に,都市共同体・渓谷共同体による特異な諸同盟の拡大の結果なのである。14世紀以降の諸同盟の発展および同時期の皇帝・国王特許状の分析が,今後の研究で展開する主要目的である。
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