1997 Fiscal Year Annual Research Report
紀元前5〜4千年紀の北メソポタミアにおける土器製作工人に関する社会考古学的研究
Project/Area Number |
09610401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (70256197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 雅幸 上智大学, 外国語学部, 専任講師 (20270530)
小泉 龍人 東京大学, 東洋文化研究所, 機関研究員
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Keywords | 土器製作 / メソポタミア / 先史時代 / 専業化 / ラバイド / シリア / 工房 / 民族考古学 |
Research Abstract |
シリアの銅石器時代遺跡であるテル・コサック・シャマリで発見された土器工房址、製陶具に関する標本・資料が、東京大学総合研究博物館には多数保管されている。これを分析し、あわせてその解釈に必要な各種資料の収集をおこなった。主たる作業および成果は以下のごとくである。いずれの作業も次年度に継続し、モデル構築の一助とする予定である。 (1)テル・コサック・シャマリの土器製作遺構、遺物の分析。特に前4000年頃の工房址の構造および出土物を分析した。工房址には大量の製品をおさめる保管庫が備えられていたこと、工房製作具には一定のセット関係があることなどが判明した。また製品の仔細な分析により、一保管庫内の土器は少数の工人によって製作されていた可能性の高いことも判明した。 (2)メソポタミア銅石器時代の土器工房址の発掘状況、出土器、関係文献等のデータベース化。特にラバイド期の事例を中心に収集した。既存のデータは土器焼成遺構に関するものに集中しており、工房そのものや保管庫などを総合的に分析した事例に乏しいことが判明した。 (3)土器工人に関する現代民族誌の収集と社会学的情報のデータベース化。西アジア地域の民族誌を中心に収集した。現在の土器工人はすべて専門職人化したものばかりであったが、職人発生期の社会構造を推定するのに有益な事例・事象についても少なからぬ知見が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西秋良宏: "シリア、テル・コサック・シャマリ遺跡" 考古学研究. 44-1. 48-50 (1997)
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[Publications] 西秋良宏: "シリアの土器製作遺構" 季刊考古学. 61. 51-54 (1997)
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[Publications] Nishiaki,Y.: "Neolithic Sickle elements from the Balikh Valley,North Syria" N-Rafidan. 18. 59-67 (1997)
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[Publications] 大津忠彦: "世界の考古学-西アジア" 同成社, 245 (1997)
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[Publications] 西秋良宏: "精神のエクスペディシオン" 東京大学出版会, 397 (1997)