紀元前5-4千年紀の北メソポタミアにおける土器製作工人に関する社会考古学的研究

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09610401
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (70256197)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 赤堀 雅幸 上智大学, 外国語学部, 専任講師 (20270530)
• Keywords: テル・コサック・シャマリ / シリア / 銅石器時代 / メソポタミア / 土器工房 / 社会の複雑化 / 専業 / 先史考古学

Research Abstract

1,シリアの銅石器時代遺跡、テル・コサック・シャマリで発見された土器工房址・製陶具に関する標本・資料の分析、2,メソポタミア銅石器時代の土器工房遺跡の発掘出土状況、出土品、関係文献等のデータベース化、3.土器工人に関する現代民族誌の収集と社会学的情報のデータベース化を実施した。そして、その結果をもとに、紀元前5-4千年紀メソポタミアの土器製作システムにつきモデルの構築を試みた。
主な結論は次の二点である。
1,テル・コサック・シャマリの層位的証拠にもとづけば、土器製作システムに顕著な変化がみられるのは、前4千年紀、後ウバイド期である。それは、生産の大量化、工房の整備、製法の効率化などに現れており、前3千年紀以降に確立する専業的土器生産システムへの移行が開始されたものと解釈できる。
2,そのような体制の変質は、当時進行していた会社の複雑化プロセスを反映していると考えられる。そのメカニズムは、余剰や効率性強化にもとづく自立的な経済発展論というよりも、政治、階層性、あるいは物品のもつ象徴的意味にかかわる社会構造の変化に関していると推察される。

Research Products

• [Publications] Nishiaki, Y: "AKKadica"Prehistoric occupations at Tell Kosak Shamali, the Upper Euphrates, Syria. 113. 13-68 (1999)
• [Publications] 西秋 良宏: "渡辺仁教授著作目録"先史考古学論集. 8. 107-115 (1999)
• [Publications] 西秋 良宏: "ニューギニアの弓矢"ウロボロス. 8. 9-11 (1999)
• [Publications] 青柳 正規 他: "海外の遺跡調査 その魅力と問題点"学術月報. 52(1). 50-73 (1999)
• [Publications] 門脇 誠二 他: "石器製作時のハンマー素材推定方法"日本考古学協会第65回総会研究発表要旨. 40-43 (1999)
• [Publications] Nishiaki,Y: "Chronique Archeologique en Syrie"Tell Kosak Shamali, 1998 : The fifth season.
• [Publications] Nishiaki, Y: "Chronique Archeologique en Syrie"Tell Kosak Shamali, 1999. (印刷中).
• [Publications] Nishiaki, Y: "Annales Archeologique Arabes Syriennes"A Preliminary report of the 1998 season at Tell Kosak Shamali. (印刷中).
• [Publications] Nishiaki, Y: "Lithic Technology of Neolithic Syria"Archaeopress, Oxford. (印刷中).
• [Publications] 西秋 良宏: "工芸の専業化と社会の複雑化-西アジア古代都市の土器生産"西アジア考古学. (印刷中).
• [Publications] G. del Omo Lete and J. -L. Montero Fenollos: "Archaeology of the Upper Syrian Euphrates the Tishreen Dam Area"Universitat de Barcelona. 672 (1999)
• [Publications] 佐川 正敏: "北方ユーラシアの中期旧石器を考える 石器からみた現世人類の起源"東北学院大学. 115 (1999)
• [Publications] 脇田 重雄: "古代オリエント世界を掘る第7回西アジア発掘調査報告会"古代オリエント博物館. 115 (1999)
• [Publications] 近藤 英夫: "古代オリエントにおける都市形成とその展開"東海大学. 117 (1999)
• [Publications] 坂村 健: "デジタルミュージアム2000"東京大学. 239 (2000)
• [Publications] 西秋良宏: "考古美術(西アジア)部門所蔵考古学資料目録:第5部イラク、テル・サラサート遺跡群出土の先史土器"東京大学総合研究博物館(印刷中).
• [Publications] P. Matthiae: "Proceeding of the first international Congress on the Archaeology of the Anciet NearEast"University of Rome (印刷中).
• [Publications] B. Lyonnet: "Prospective archiologique du Haut-Khabur occidatal (Syrie du N.E.), Volume 1"Bibliothegne Archestogigue et Mistorigne (印刷中).