1998 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代における首長層の居館と奥津城の関連性に関する研究
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09610403
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋本 博文 新潟大学, 人文学部, 助教授 (20198691)
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Keywords | 古墳時代 / 首長 / 居館 / 奥津城(古墳) |
Research Abstract |
2年次目は、昨年度の四斗蒔遺跡1号居館の内部の解明をうけて、首長居館と古墳との対応関係を探る目的から隣の四斗蒔遺跡2号居館と、北西約400mに位置するお旗塚古墳を並行して調査した。その結果、四斗蒔遺跡2号居館の北辺中央には張り出しは無く、濠は方形に巡ると推定された。また、濠の断面形状は1号居館同様、逆台形を呈すること、その規模は上幅約4.1mと、1号居館よりも大きいことなどが判明した。濠の覆土は自然堆積と認められ、1号居館とは異なって、外側に土塁を有した形跡は窺えなかった。さらに、濠には湛水の様相が認められ、木材が多量に遺存していた。多くは自然木であるが、中には板材・角材などの加工木も存在する。底面には2本外側を向いて立つ杭状の木材が確認できた。あるいは防御用の逆茂木の可能性がある。濠の底面付近からは小型器台など年代決定の材料となる土器が得られた。 一方、お旗塚古墳の調査の結果、2重の濠を持つ円墳で、内堀は円形、外堀は方形に巡る特異な古墳であることが明らかになった。外堀の外側での規模は1辺約42mあり、四斗蒔遺跡1号居館の1辺約40mとほぼ同一の大きさであることが判明した。また、出土土器から四斗蒔遺跡1号居館と近い時期のものであることが知れた。さらに、四斗蒔遺跡1号居館の濠と似た断面逆台形の周濠が確認され、両者が密接な関係にあることが窺われる。なお、周濠底面付近から四斗蒔遺跡1号居館と同様にS字状口縁台付甕が出土した。他に、底部穿孔壺形土器も認められた。 以上の他に、四斗蒔遺跡2号居館の濠とお旗塚古墳の内堀・外堀の断面剥離標本を採取した。また、火山性堆積物のチェックや、珪藻分析、プラントオパール分析、花粉分析、放射性炭素年代測定などのための試料のサンプリングを行った。
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