1997 Fiscal Year Annual Research Report
亀ヶ岡文化における土器の文様類型と地域性に関する研究
Project/Area Number |
09610411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 龍三郎 早稲田大学, 文学部, 助教授 (80163301)
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Keywords | 亀ヶ岡式土器 / 大洞C1式 / ネガ文様 / 地域性 / 実測図 / 要素 |
Research Abstract |
上記の研究課題を3年間で遂行する上で、基礎的データを収集することを本年度の主テーマにすえた。亀ヶ岡式土器のうち、大洞C1式の良好な資料を出土した遺跡を求めて、青森県を中心に4回の巡検旅行を実施した。主に青森県東津軽郡平内町所在の槻の木遺跡の土器を、平内町教育委員会の協力を得て観察し分析する機械をもった。この資料は、完形品、準完形品が多い反面、十分な整理作業が行なわれずに保存されていたため、調査は分類から開始し、接合や石膏入れ、実測など手順を踏んで実施した。その結果、大洞C1式土器のデータ処理に必要な完形品、準完形品を多数復元することができた。完形品を優先したのは、土器文様の分析単位であるネガ文様の要素(文様面の粘土を除去することによって生じた陰刻文様)の抽出が容易であり、しかも一個体に描かれた要素の単位数がカウントできるからであった。実測した遺物は14個体に上り、平面図、側面図をトレースして、公表できる状態に仕上げた。この中には、精製土器として椀形、壺形、杯形などが含まれ、器種ごとに施文されるネガ文様の内容に、若干の差異があることが判明した。このことは、ネガ文様の種類の差が、地域性に由来するものか、文様の描かれる器種の差に由来するものかについて、今後の見通しを得る上で、大変重要な示唆を与えてくれた。また、破片に窺えるネガ要素の質と数についても記録して集計し、完形品と合わせて、槻の木遺跡の特性について論究するデータを集めることができた。今後の遺跡間、地域間の文様比較にも有用で基礎的な資料となった。 その他に、東北地方の各県から刊行されている発掘調査報告書の実測図から、個体ごとにネガ文様の各要素を抽出する作業を行い、遺跡ごとの要素の集合の傾向を把握する作業を行なった。またそれに先立って、各遺跡に共通するデータチャートを作成した。
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Research Products
(1 results)