1998 Fiscal Year Annual Research Report
亀ヶ岡文化における土器の文様類型と地域性に関する研究
Project/Area Number |
09610411
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 龍三郎 早稲田大学, 文学部, 助教授 (80163301)
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Keywords | 亀ヶ岡式土器 / 大洞C1式土器 / 精製土器 / ネガ文様 / 地域性 / 要素 / 実測作業 |
Research Abstract |
上記の研究を遂行するために、平成10年度も東北各地を巡検し、遺跡出土の亀ヶ岡式土器の精製土器を検討した。8月下旬には、青森県中津軽郡板柳町の郷土民俗資料館を訪ねて土井I号遺跡の大洞CI式を観察し、椀形土器をはじめ数個体の実測と写真撮影を完了し、ネガ文様の要素別のカウントした。また平成11年1月には、岩手県埋蔵文化財センターを訪ねて、収蔵される大船渡市長谷堂貝塚の資料や上鷹生遺跡の大洞C1式土器を観察し、陸前高田市の歴史民俗資料館と大船渡市の市立博物館を訪ね、収蔵される獺沢貝塚、中沢浜貝塚の土器資料を観察し写真に記録した。これら土器に現れたネガ文様(肉彫的手法によって一段削り取られた文様面)分析を通じて、岩手県南部の太平洋岸地域には、かなり地域性豊かなネガ文様があること、とくに主要素の種類には、この地域に独特な種類があることが判明した。また小さな補助要素である三角形の印刻が、この地域では比較的出現頻度が低いことが確認された。来年度も引き続き、この地域の大洞C1式の実測作業を継続する必要がある。 昨年5月に、高知県居徳遺跡で、在地の凸帯文土器に混じって東北起源の亀ヶ岡式土器数点が検出された。その速報展が、6月下旬に中四国縄文研究会の席上で行なわれたので学会出張した。この学会は山口県豊北町の土井が浜遺跡・人類学ミュージアムで開催され会場で搬入されたとされる土器片を悉さに観察することができたが、かなり本場物に近い製品であった。遠距離を移動する土器型式の実態を見ることができたが、西日本各地で増加する当資料の出自や起源地の解明には、やはりネガ文様の分析が必要であることが理解された。
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