1999 Fiscal Year Annual Research Report
歴史時代における環境変化と北方諸民族の集団移動とのかかわり
Project/Area Number |
09610419
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Research Institution | The Historical Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
右代 啓視 北海道開拓記念館, 総務部, 学芸員 (30213416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 守雄 北海道開拓記念館, 学芸部, 主任学芸員 (70132826)
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Keywords | オホーツク文化 / 擦文文化 / 環境変化 / 弥生海進期 / 古墳末海進期 / オホーツク海進期 |
Research Abstract |
今年度の研究実績の概要は、オホーツク文化期〜擦文文化期〜アイヌ文化期における防御性集落やチャシの立地に関する特性の調査と歴史時代における環境変化に関する調査などを日本海沿岸域および内陸地で実施した。 オホーツク文化期〜擦文文化期〜アイヌ文化期における防御性集落やチャシの立地に関する特性の調査は、オホーツク文化、擦文文化の遺跡立地とどのようなかかわりがあるか遺跡の現地踏査を実施し、遺跡の立地環境についてのデータを収集した。 歴史時代における環境変化に関す調査は、2年間実施してきた調査の補足的な調査を海岸部や湖沼などで実施し、環境変化に関するデータを収集した。この調査で弥生海進期、古墳末海進期、オホーツク海進期などの温暖の痕跡はもとより、15〜16世紀の小温暖期と17〜18世紀の小氷期の存在を確認した。 その他、北東アジアを研究するロシアの研究者からサハリン・アムール川下流域の状況について、情報や文献等を収集した。 その結果、過去2,000年間の温暖と冷涼という環境の変化は、北方諸民族に与える影響は大きく、弥生海進期、古墳末海進期、オホーツク海進期では活発な人の移動がみられ、それにともない文化も大きく変化したことがわかった。また、15〜16世紀の小温暖期、17〜18世紀の小氷期では、移動範囲がせばまり固定化された文化が形成された。この時期、北海道では最も本州とのつながりが強くなる。 上記の調査内容をふまえ、平成9年〜平成11年度の調査成果を総括する報告書を作成することとする。
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[Publications] 右代啓視: "北東アジアにおけるチャシの位置づけ"北の文化交流史研究事業本報告. (2000)
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[Publications] 赤松守雄・右代啓視: "北方諸地域における10世紀以降の温暖期の存在とその意義"北の文化交流史研究事業本報告. (2000)
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[Publications] 右代啓視: "擦文文化の拡散と地域戦略"北海道開拓記念館研究紀要. 第27号. 23-44 (1999)
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[Publications] 右代啓視: "平安海進期のオホーツク・擦文文化"季刊・河川レビュー. No.107. 104-115 (1999)
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[Publications] 右代啓視: "オホーツク文化-サハリン・大陸を含む-"シンポジウム海峡と北の考古学-文化の接点をさぐる-. 209-229 (1999)
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[Publications] 赤松守雄・右代啓視ほか: "北方諸地域における歴史時代の環境復元"北の文化交流史研究事業中間報告. 153-162 (1998)