1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本国内に現存する文選古鈔本の原本調査に基づく文選訓読についての総合的研究
Project/Area Number |
09610424
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小助川 貞次 富山大学, 人文学部, 助教授 (20201486)
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Keywords | 文選古鈔本 / 文選集注 / 訓読方法 / 九条本文選 / 書陵部本文選 / 電子化テキスト / JIS外漢字 / 高山寺方式 |
Research Abstract |
1 原本調査及び訓読方法の解明 本年度は日本国内に散在する文選古鈔本の内、『文選集注』との対照作業によって訓読方法の実態解明が可能な巻第二に焦点をあて、九条本(慶応義塾大学斯道文庫においてマイクロフィルムを閲覧)の書写移点を行ない、巻第二後半部(三都賦序、蜀都賦)について作業をほぼ終了した。その調査結果をもとに、書陵部本(鎌倉時代語研究第七輯所載の写真覆製を利用)との精密な比較を行ない、以下のような知見を得た。 (1) 九条本の訓読においては、『文選集注』と『六臣注』が利用されたという指摘が従来からあるが、『文選集注』の利用は予想されたよりもはるかに少ないことが分かった。 (2) 『文選集注』『六臣注』に典拠を見出せない訓点の中に、九条本、書陵部本の二本間で一致するものがあり、文選訓読にはこれらの注釈書の利用を超えた所で共通の基盤の存したことが推測された。 2 電子化テキストの作成及び電子化処理に伴なう問題の検討 古鈔本・訓点資料を電子化テキストとして処理して行く場合の問題について、高山寺典籍文書綜合調査団による処理方法に注目し、情報収集を行なった。 3 訓読方法の実態を解明する上で不可欠な注釈書(『文選集注』)の解読と電子化処理 九条本と書陵部本との精密な比較を行なう過程で『文選集注』巻第八の精読を行ない、被注部分(文選本文に注釈内容がどのように関わっているか)についての確認検討を行なった。また訓読方法の実態を解明する上での基礎資料とするために、前年度に引き続き、『文選集注』巻第八の電子化処理を行ない、作業をほぼ終了した。
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Research Products
(1 results)