1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会における言語行動の地域差・世代差についての研究
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09610429
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Research Institution | TOKYO METOROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
篠崎 晃一 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (00206103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆 東北大学, 文学部, 助教授 (00161993)
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Keywords | 言語行動 / 地域差 / 世代差 |
Research Abstract |
言語行動に関する項目について、全都道府県から得られた約3,200件のアンケート調査のデータをコンピュータで処理し、5地点の臨地調査の結果と併せて地域差・世代差の観点から分析を行った。 今回の研究により、次の点が明らかになった。 (1) 世代差と地域差との相関 いわゆる方言の衰退傾向から推すならば、言語行動の地域差も薄まっていく方向にあると思われるが、中には若年層でもそのまま地域差が保たれていたり、若年層でむしろ新たな地域差が形成されつつあるという現象が見られた。 (2) 「地域差」ということ 従来の地域差とは、地理的な隔たりに応じて認められる言葉の違い(いわゆる方言)を指し、それは多くの場合、伝播論的な要因によって生じると考えられてきた。今回の調査で得られた地域差も、多くは従来の地域差の概念で説明できるものと考えられる。しかし、言語行動のレベルの地域差ということになると、その地域の社会構造や都市化の程度の違いといった社会的要因にも注目せざるをえない。例えば、生活形態の違いや人間関係の親疎といったことは、当然、言語行動の違いに影響してくる。今回の調査結果における都道府県別のレベルではじめて違いが現れる、といった項目などは、都市と農村といったような「社会的地域差」の方が、従来型の「地理的地域差」よりも大きく現れてくる可能性を示唆している。
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