1998 Fiscal Year Annual Research Report
韓国に残置された「明治期以前日本語古典籍」文献情報データベース構築の基礎的研究
Project/Area Number |
09610442
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 孝俊 九州大学, 言語文化部, 教授 (20150378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 弘次 九州大学, 文化部, 助教授 (70167419)
中野 三俊 九州大学, 文化部, 教授 (70036987)
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Keywords | 所在情報データベース / 京城帝国大学 / ソウル大学図書館 / 合巻 / 洒落本 / 江戸文学 |
Research Abstract |
1945年から昨年の1998年まで、多くの日本人研究者の要求に対して、ソウル大学図書館は旧京城帝国大学所蔵日本語古典籍の公開を許可しなかった。この悲願は1998年になり、はじめて達成され、我々のプロジェクトチームは所在情報データベース作成のための基礎データを入手できた。合巻類812部をはじめ、源氏物語・伊勢物語・600番歌合・井原西鶴の読本類ほかデータは約3万冊にわたる書誌情報である。周知のように日本国内の古典籍50万冊は『国書総目録』(岩波書店)に収載されているが、これらソウル大学所蔵和本はその中に収録されておらず、今後の課題となるはずである。そのために、データベースソフトを活用して、「表紙・外題・匡郭・見返し・扉・内題・丁数・尾題・序跋・柱刻・刊記・奥付・行数・蔵書印・挿し絵・広告・その他」などの多様な項目をコンピュータに入力させつつある。 すでに全国紙やラジオ・テレビなどのマスコミによって全国に報道されたように(『読売新聞』1998年9月14日付けなど)、日本にも存在しない貴重な資料--特に合巻類や山東京山の原稿など多数見いだせており、本研究の進展に、専門家のみならず多くの方々の注目が集まっている。 本調査が専門的であるだけに、日本近世文学に精通したデータ打ち込み者が必要である。そればかりでなく、我々のデータベースが完成した暁には、WEB上で稼働し、検索システムも備えたものとすべき鋭意努力している。 本研究が直接的な「橋渡し役」となって、九州大学とソウル大学の両中央図書館間に学術交流協定が締結される運びとなったのは、日韓学術交流を促進する上でまことに歓迎すべきことと言わざるを得ない。
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