2000 Fiscal Year Annual Research Report
近世出版環境における作者及び書肆の営為と相関についての研究
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09610449
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
西島 孜哉 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (20102808)
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Keywords | 西鶴 / 出版 / 書肆 / 狂歌 / 鈍永 / 八文字屋 |
Research Abstract |
1 西鶴の営為と出版環境の相関について、出版を前提とした『諸艶大鑑』の構成意識から考察した。その場合、巻一の二および巻一の三を取り上げて、そこにみられる緻密な章構成が、自己の主題意識を具体化するために、十分に計算されたものであり、従来の読みのように、単に羅列的、且つ連想的に並べられているのではないことを証明した。新しい印刷文芸に取り組む西鶴の姿勢は、『諸艶大鑑』の版元である岡田三郎右衛門のそれと共通するものである。岡田が『一代男』の続編としての「二代男」ではなく、『諸艶大鑑』として出版したのは、西鶴の主題意識が「女色のかぎり」を様々な角度から描こうとするものであった点と矛盾しなかった。そこに作者西鶴と書肆岡田の営為のプラスの方向性を読み取ることができる。 2 狂歌師九如館鈍永、書肆八文字屋白露・加賀屋卯兵衛などの活動の考察。鈍永の『京町鑑』への関与、さらには百科事典としての働きを持つ「節用集」や往来物への関与は、書肆と作者による出版メディア共同体としての文化サークルの中で果たされたものであった。鈍永や白露などが形成する文化サークルは文化の荷担者であるとともに伝播者ととしての働きを持つものであった。それは出版活動が大衆に浸透することでもあった。出版を通じて大衆が文化を享受するという環境が形成され、書肆や作者は単に営利を追求するのではなく、文化的な役割を担うものであった。書肆や作者の働きは、そのような視点から把握されねばならない。
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Research Products
(2 results)