1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610456
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 省三 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70156818)
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Keywords | 台湾文学 / ナショナリズム / 国語 |
Research Abstract |
戦前期の台湾人の有力な日本語作家には、楊逵・張文環・呂赫若・周金波・王昶雄らがおり、彼らは1920年代から40年代にかけて、日本大学・東洋大学・東京声楽専門音楽学校などにおいて東京留学を体験している。本研究は本年度にはFaye Kleeman(アメリカ・コロラド大学ボーダー校東アジア言語文学学科助教授)、柳書琴修士(台湾・清華大学大学院博士過程)、河原功(成蹊高校教諭)、石婉舜(横浜国立大学外国人研究員)、垂水千恵(横浜国立大学助教授)、黄英哲(愛知大学現代中国学部助教授)、山口守(日本大学教授)ら日本・台湾・アメリカの研究者と共同してこれらの作家の留学体験およびそれが戦前期台湾文学読書市場の形成に及ぼした影響を調査研究した。 全体的に留学体験はアイデンティティ危機を引き起こし、日本アイデンティティから中国アイデンティティへと移行し、さらに台湾アイデンティティの獲得へと変化しているが、留学期間によっては周金波のように中国アイデンティティをほとんど経験することなく、帰台後の文学活動を通じて台湾アイデンティティに目覚めていく者もいた。 本年度の主な研究成果は研究代表者が実行委員および同シンポジウム議長をつとめる第45回国際東方学者会議(財団法人東方学会主催、2000年5月19日開催)におけるシンポジウム「戦前期台北文化界の成熟」において報告され討論される予定である。 研究代表者はこのシンポジウムの成果を踏まえて戦前期台湾文化界研究に関する報告書を2000年度中に作成する予定である。
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Research Products
(1 results)