1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610457
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
今井 敬子 静岡大学, 人文学部, 教授 (20176473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 礼 静岡大学, 人文学部, 教授 (10142358)
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Keywords | 中国語の口語 / ディスコース / 結束性 / 文法と音声の照応 |
Research Abstract |
本研究は、中国語のディスコース論の本格的な構築を目指しながら、そのための基礎的作業および理論的検討を進めることを目的としている。本年度は、購入した『当代北京口語語料』(102名のモノローグ録音データ及びその文字化データ)の文字化データの中からディスコースを単位として抜き出して、その確定作業を進めた。それから、ディスコースの結束性の調査の一環として、前後の節(文)を論理的に関係づける連接成分について、その形式と分布状況を調査した。中国語は特に口頭語において連接成分の使用が少ないと言われているが、収集したデータを見ると、限られた連接成分(特に因果、転折などを表すもの)は、予想外に多用されていた。さらにこれらの成分の出現については、たとえば因-果-因のように、何らかの反復パターンをとりやすいことや、情報の新・旧の差との一定の対応が認められることなど、ディスコースの視野からの観察による特有の性質が見られた。本調査はデータの整理を終え、目下投稿準備中である。また、ディスコースの中の照応現象について、シナリオのせりふの中の人称代名詞の使用特性を調査して発表した。一方、音声分析では、声調言語のピッチ変動について、言語間の差と個人差という二通りの個別性に着目した論考を発表したが、来年度はこの成果をふまえて、本研究で談話文法分析を経たデータについて音声分析を加え、両分析の結果をつきあわせて、照応、関連を調べる。談話文法分析の立場からは来年度は、主題の設定・展開を中心に分析を進め、あわせて、清代北京語語料『紅桜夢』を用いての通時的な調査に入る予定である。
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