1997 Fiscal Year Annual Research Report
中国女性文学に関する研究-支秦漢魏より唐代に至る中国文学に於ける女性文学の占める位置-
Project/Area Number |
09610458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西村 富美子 三重大学, 人文学部, 教授 (00073445)
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Keywords | 唐代の女性詩人 / 『文選』と女性詩人 / 『玉台新詠集』と女性詩人 / 班〓〓 / 班昭 / 李季蘭 / 李季蘭の伝説 / 唐人選唐詩と女性詩人 |
Research Abstract |
1,まず今までに出版された中国女性文学に関する研究書・概説書等の調査収集を行い、整理を行った。(1)文学史的な内容のもの(2)先秦から唐代までの女性作者に関する詩集及び文集(総集・別集また注釈・評論等の書を含む)の2種類に分けたが、(1)については、民国以後であり限られているが、(2)については、古くは総集として『文選』『玉台新詠集』などがあるが、個人の作者では明朝ごろから編集され始めており、特定の作者についての詩文集もある。それらのほとんどの書籍を入手また閲覧し、書名のリストを作成した。この調査によって女性文学の過去の研究の実態及び状況を知ることができた。調査結果は公表の予定である。 2,『玉台新詠集』の諸本のテキストの調査と共に、女性作者の所収作品について『文選』との比較調査を行った。両書の性質の相違もあり、特に『玉台新詠集』については改めてテキストを吟味する必要がある。『文選』には二人の作者の作品が各一編、『玉台新詠集』には十二人の作者の作品が計三十四編あるが、作者・作品の両面に対照的な違いの存在することが判明したので、その調査結果は小論としてまとめる予定である。 3,唐代の女性詩人について、唐・宋・元代編集の詩文集また伝記等について調査を行い、『全唐詩』を参考資料として比較検討した。唐代の中期に高仲武により編纂された『中興間気集』に初めて女性詩人李季蘭の作品が収められていることを知ることができた。詩人の総数二十六人、詩の総数百三十二首の小詩集であるが、李季蘭の詩六首とともに小伝を付しているのは画期的な女性詩人の扱いである。この李季蘭について他の詩の収集とともに伝記についての他の資料の調査を行い、盛唐末から中唐初期に生存したこの作者の周辺を調査することにより知ることができた女性詩人像の一端を、中間報告としてまとめた。
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Research Products
(1 results)