1997 Fiscal Year Annual Research Report
上海方言語彙の記述言語学的研究-上海語辞典編纂のための基礎研究
Project/Area Number |
09610461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
呉 悦 立教大学, 大学教育研究部, 助教授 (00287905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 巧 立教大学, 大学教育研究部, 助教授 (90259250)
谷野 典之 立教大学, 大学教育研究部, 教授 (10188386)
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Keywords | 上海語 / 方言語彙 / 基礎語彙 |
Research Abstract |
本研究は中国語の有力な都市方言のひとつである上海語そのものを日本語との対照において直接学習・研究するうえで不可欠な上海語辞典の編纂を目的とした記述言語学的研究である。研究初年度の本年は,現代上海語についての比較的質の高い方言辞典,語彙集,調査報告などの基礎資料および研究成果を幅広く収集して、基礎語彙の選定と記述の準備を整えるとともに,中国語情報処理のための機材等の研究環境の整備を重点的に行った。まずすでにコンピュータ上でテキストデータとして利用可能な汎用の方言調査票による語彙項目を基礎として,科学的統計データに基づく日本語の基礎語彙,また中国語教育において不可欠な教育基本語彙の研究資料などを総合して,データベースの一応の枠組みを設定した。記述の第一段階においてマニュアル的役割を果たす各語彙項目は,中国語の標準語の発音(ピンイン)と漢字表記(日本語のJIS漢字および中国語のBig5繁体字)により,意味範疇による分類番号がつけられている。すべての項目には日本語訳をつける作業も平行して行なっており,辞典の完成時には中国語の標準語および日本語からの索引として機能することになる。上海方言語彙データ自体の入力にあたっては,漢字表記と方言字,ローマ字表記法と音声記号等のさまざまな技術的問題があるが,これらについては暫定的なガイドラインを定めた。今後は実用性と汎用性を重視しつつ実情に即して検討を加えていきたい。データ構造は各語彙項目につき,上海語の発音(ローマ字による簡略表記と国際音声記号による厳密表記の2種)と漢字表記,その日本語訳に加え,文法的に重要な機能語については,必要に応じて例文を付加する形で記述作業を進めている。以上のような形式でこれまでのところ目標とする1万語のうち,約2千語の入力を終えることができた。次年度中には語彙項目の整備とともに,上海語の語彙データの基本部分の入力までを終えたいと考えている。
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