1998 Fiscal Year Annual Research Report
上海方言語彙の記述言語学的研究-上海語辞典編纂のための基礎研究
Project/Area Number |
09610461
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
呉 悦 立教大学, 経済学部, 助教授 (00287905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 巧 立教大学, 社会学部, 助教授 (90259250)
谷野 典之 立教大学, 経済学部, 教授 (10188386)
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Keywords | 上海語方言辞典 / 基礎語彙データ / 上海語ローマ字表記法 / 教育基本語彙 / 上海語語彙の構造体系 |
Research Abstract |
継続2年目の本年度は,方言辞典編集の基礎となる基礎語彙データの入力作業を行なうとともに,現代上海語として新語でありながらも基本的な語彙として定着しつつある語彙の収集を行なった。前者については『漢語方言語彙調査手册』の体例にもとづき,中国語の基礎的な方言語彙項目として挙げられている約5千語についてカード型データベースを利用して上海語のデータを入力し,標準語の漢字と発音から対応する上海語の語彙が検索できるようになった。なお,上海語の発音は新派と呼ばれる若い世代の発音を採用し,表記もコンピュータ処理の行ないやすいローマ字表記法を新たに考案した。上海語ローマ字表記法は今後もさらに洗練を加える準備を進めている。同時に中国語の教育現場での一基準として定着しつつある中国語水準テスト(HSK)の資料より使用頻度順にランキングが付された教育基本語彙の約8千語についても,見出し項目の入力をほぼ終了したので,その各語に対応する上海語の語彙を記入する作業も進めており,順次『漢語方言語彙調査手册』のデータベースに統合していく予定である。作業にあたっては,上海語語彙の構造体系をよりいっそう明らかにすべく標準語の語彙との間につぎのようなランキングを設定した。 1 標準語の語彙で発音を変えれば上海語口語語彙として使用されているもの 2 口語では使わないが,上海語の読で書面語として使われているもの 3 上海語としては使われず,語彙の置き換え(訓読)がなされるもの いっぽう後者の新語については新聞雑誌等から活きた表現と例文を収集し,当該語がいりどのように使われたのかがわかる情報を付加するなどの新たな工夫をして,現代上海語の語彙構造を立体的に把握できることを目標に作業を継続している。
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