1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610464
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 義明 東北大学, 文学部, 助教授 (80161181)
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Keywords | 助動詞 / 否定 / 素性照合 / 極小主義 / 演算子 / 法 / 構成素統御 |
Research Abstract |
今年度は、英語の助動詞システムに関わる現象のなかで、法助動詞、否定、命令文等の研究を行うともに、助動詞を中心とする文構造の決定と意味解釈に重大な意味を持つ構成素統御(c-command)の概念に関する研究を行った。法助動詞については、Kaneko(1997)の分析を基盤とし、Papafragou(1998)の関連性理論に基づく分析を取り入れ、法助動詞構文の統語論、意味論、語用論のインターフェイスの様相の解明につとめた。その成果は、 「英語法助動詞構文の統語構造と叙述構造(仮題)」として準備中であるが、その趣旨は、英語の法助動詞に語彙的多義性は存在せず、多様な意味解釈は、叙述構造の相違と発話の解釈に関する語用論的メカニズムの相互作用によるものと主張する。命令文、否定文についてはそれぞれPotsdam(1996)、Acquaviva(1997)を中心として批判的に検討し、特に否定文については、Aquavivaが採用する従来の否定句NegP内の指定部(演算子)と主要部の一致に基づく分析ではなく、演算子として働く否定主要部との素性照合による分析が妥当との見通しを得た。Kaneko(1998a,b)の分析もこの線にそって修正する予定である。一方、構成素統御は、これまで、生成文法における最も基本的概念の一つとし大きな役割を果たしてきており、本研究においても、語順をはじめとする文構造の決定や、法助動詞や否定要素の作用域決定に重要な意味を持つ概念である。今年度の研究では、この概念を根本的に見直すことにより、構成素統御によって説明された言語現象をより基本的概念から帰結として説明し、独立した概念としての構成素統御を廃止し、文法理論をより簡素化する見通しを得た。その成果は、Kaneko(1999a,b)として発表される予定である(印刷中)。
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[Publications] KANEKO, Yoshiaki: "Towara Eliminating C-command from Syntactic Operations" 東北大学研究年報. 48. 257-272 (1999)
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[Publications] KANEKO, Yoshiaki: "Towara Eliminating C-command from Linguistic Theory" Explorations in English Linguistics. 13. (1999)