1998 Fiscal Year Annual Research Report
文学作品間の影響関係のコンピュータによる解析方法の確立
Project/Area Number |
09610469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 史郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00145765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 明子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50064233)
岡 秀夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90091389)
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Keywords | ディケンズ / カーライル / 影響関係 / 二都物語 / フランス革命 / 電子テクスト |
Research Abstract |
本研究の目的はディケンズの『二都物語』及びカーライルの『フランス革命』の電子テクストをコンピュータ処理することにより、両者の間の影響関係を探ろうとするものであるが、初年度につづいてさらにディケンズ及びカーライルの電子テクストの入手、もしくは作成に努めた。 さらに本年度はヴィクトリア朝作家全体にまで範囲を拡大し、ヴィクトリア朝作家全体に関する膨大な電子テクスト・アーカイヴの構築をめざして、精力的に電子テクストの収集を行った。収集したテクストはおおまかにいって、数千の規模になったと思う(これは現在、世界的な規模で急激な勢いで進展している文学作品の電子テクスト化のお蔭である)。これによってたんに『二都物語』と『フランス革命』の比較研究にかぎらず、ヴィクトリア朝文学全体のなかで『二都物語』が占める位置を研究することも、可能になったのではないかと考える(しかしこれは本研究の範囲をこえるので、今後の課題としたい)。 そしてその作成・収集した電子テクストを材料にして、山本が独自に開発した複数語同時検索プログラム(Search)を活用しながら、任意の二つのテクストの影響関係を語彙的に探るためのいくつかの基礎的作業を行い、検索プログラムのブラッシュアップに努めた。 その作業のなかでいくつかの特定の語彙をピックアップし(数百語)、それぞれについて語彙統計をとってみた。そのうえでそれらの語の一つ一つついて丹念にコンテクストを考慮しながら、実際にどういうかたちの影響関係が認められるかをチェックした。その成果は、最終年度にまとめるつもりである。
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