2000 Fiscal Year Annual Research Report
ハワイにおける日系移民文学の歩み:ポスト・コロニアル視点による再構築
Project/Area Number |
09610482
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
臼井 雅美 同志社大学, 文学部, 助教授 (00223537)
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Keywords | 日系アメリカ文学 / アメリカ文学 / アメリカン・スタディーズ / エスニック・スタディーズ / ハワイ文学 / ジェンダー・スタディーズ / 比較文学 / 比較文化 |
Research Abstract |
1990年代後半から2001年にかけて、ハワイのローカル文学における転換期を、ポスト・コロニアル時代のコロニアル・ナラティブという視点を中心に研究をした。特に1997年に出版されてアメリカのアジア系アメリカ学会で大きな議論を呼んだ日系三世作家Lois-Ann YamanakaのBlu's Hangingを、酷評の対象となった日系対フィリピン系の民族的対立という一面的な読みで捉えるのではなく、前作Wild Meat and the Bully Burgersから1999年に出版されたName Ne NobodyとHeads by Harry、さらに2001年に出版されたFather of Four Passagesの作品分析から考察して、ポスト・コロニアル時代に潜伏するコロニアル生活における青少年期を迎えた女性をフレイムとするコロニアル性として分析し、性の政治学として捉えた。また、もう一つのコロニアル・ナラティブとして、日系三世で白人とのHapaであるMarie HaraとComfort Womanの著者Nora Okja Keller共編して1999年にBamboo Ridgeから出版したアンソロジー、Intersecting Circles:The Voices of Hapa Women in Poetry and Proseに代表されるHapa文学がある。Hapaというハワイ語が、もともとハワイにおけるポリネシア系ハワイ民族と白人の混血から、白人とアジア系の混血という意味の拡大を起こし、さらには全ての混血を意味するようになり、意味の変遷を繰り返してきたように、ハワイにおける民族・ジェンダー・階級の構造が、キャブテン・クックの発見時からハワイが白人により政治的・経済的・社会的・文化的に侵略され、さらにはプランテーション時代の産物であるアジア系を中心とした労働者の参入とそれに伴う社会変化、そしてグローバル時代におけるハワイの変貌と様々な民族移住を経験したハワイのローカル性である。そのハワイを出発点としてポスト・コロニアル時代にグローバル化された全米の都市や町に構築されつつあり、アイデンティティの所在に苦しみながらもその文化的特性を独自の表現で構築してきたHapa作家が目指す多民族・複合文化の葛藤と和解を表現するHapa文学を分析し、ハワイのローカル文学が21世紀に向けて発展する新しい側面として評価した。
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[Publications] Masami Usui: ""The Global/Local Past Eucounters the Local/Global Future : The Japanese Local Literacure in Hawaii""AALA Journal. 第6号. (2001)
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[Publications] Masumi Usui: "共著Aslan American Playwrights : A Bio-Bibliographical Critical Sourcebook, ed.Miles Xian Liu"Westporci.Greenwood (予定). (2001)