1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 和人 九州大学, 言語文化部, 教授 (80039768)
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Keywords | ヘンリー・ソロ- / ライシ-アム / 講演活動 / ネイチャー・ライティング / 自然環境 |
Research Abstract |
ヘンリー・ソロ-の後期作品、「メインの森」、「エクスカーション」、「コッド岬」等を研究対象にし、19世紀前半から中頃にかけての合衆国の文化啓蒙活動であるライシ-アム活動との関わりを主に調査した。 「メインの森」では、ソロ-が行なったメイン州旅行のメモと、それをコンコード・ライシ-アムで講演した際の原稿、並びに実際に作品化されたものの三者を比較検討した。実際の作品では、現代に見られるような、地球=惑星という新たな視座が採り入れられていることが判明した。講演原稿にその萌芽があり、作品化する際にそれが強化されたものと考えられる。さらに、作品「エクスカーション」の中では、特に「ウォーキング」というエッセイに挿入されている詩「旧マルボロ-街道」を取り上げた。そしてこの詩がソロ-によってコンコード・ライシ-アムで講演中に朗読されたという可能性を探ってみた。詩のテーマは、いわゆる、<生き甲斐の探求>であり、ソロ-が詩として朗読し、聴衆に実りある人生の探求を説いたものであることを確認した。この研究は論文として公表した。 「コッド岬」については、その地方の生態学的な報告の部分と、北米大陸の開拓と探検の歴史話の部分に焦点を合わせて検討した。この作品もソロ-によってライシ-アムで講演されており、テーマは大自然の中における旅と探検であって、現代のネイチャー・ライティングの作家や作品に通じる要素が多いことが突きとめられた。
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