1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本とアメリカ合衆国の労働民謡研究:比較文化史的視点から
Project/Area Number |
09610498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
ウエルズ 恵子 立命館大学, 文学部, 助教授 (30206627)
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Keywords | 民謡 / フォークソング / アメリカ文化 / 子守唄 / 労働歌 / folksongs / occupational songs / Nursery Songs |
Research Abstract |
本研究は、大衆文化としての民謡に人々の生活と心情を探り、浮き彫りにするのを目的とする。19世紀から20世紀初頭にかけての、産業の飛躍的な発展と混沌とした社会変化の中から、日本とアメリカではどんな歌が生まれ、愛され、伝えられてきたかを探りたい。それぞれの国の独自性と、人間の普遍的で感動的な姿を読み出したい。今年度は、(1)アメリカ民謡全般に亘る概観的研究と、(2)前年度から行っていた日本の子守歌についての研究の仕上げ、および(3)炭坑歌、女工歌などの資料集めと検討を中心に行った。 (1)アメリカ文化は多様で複雑であり、異質なものを融合して創造を繰り返す活力を持っている。民謡はその代表的なものだ。概観的研究で、民謡の分類、民謡研究の歴史、資料の状態、その他を学んだ。その一部は「アメリカ民謡と働く人々・文化の多様性を移す民謡」にまとめて発表した。 (2)日本の子守歌は、一般的には悲しい歌と考えられているが、仕事の辛さ悲しさのみならず反抗心や増悪、性への関心、大人の社会への批判、加えて、歌う楽しさや将来の夢など、少女たちの生活の現実をよく表現している。このテーマでのアメリカでの研究発表および論文の発表後、韓国の子守歌などとの関連を関係研究者に示唆され、視野が深まった。 (3)今年度資料集めに着手した炭坑歌と女工歌については、前者がアメリカ関係の資料をほぼ集め終わり、後者が日本関係の資料をおおかた入手した段階にある。来年度は不足の資料を整え、論文の執筆にかかりたい。また、新たに水夫の歌の資料を収集する計画である。
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Research Products
(2 results)