1999 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀イギリス文学にみるジェンダー-ロンドン都市文化の変容からみた女性性と男性性-
Project/Area Number |
09610499
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Research Institution | Tsuruga Junior College |
Principal Investigator |
五幣 久恵 敦賀短期大学, 日本史学科, 助教授 (90235002)
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Keywords | イギリス文学 / 18世紀小説 / 定期刊行物 / ジェンダー / ロンドン都市文化 |
Research Abstract |
18世紀のロンドンという近代都市消費社会における女性性と男性性の構築の流れを研究する為に、この最終年度は、身体を取り巻く文化的状況と物質的状況を見るために、以下を研究課題とした。 1.文献収集と資料化。 (1)18世紀英国女性と男性の身体や服装に関する資料。 主に、定期刊行物(The Spectator, The Tatler, The Connoisseur)や服飾雑誌、当時のドレスを扱った著書などの文献コピーを収集し、関連記述箇所の抜粋及びカード化を行った。 (2)南海泡沫事件などの投機や消費ブームなどの市場経済下での男女の商品化に関する資料。 主に、当時の新聞や経済書などの文献コピーを収集した。 2.収集した資料の分析。 (1)男性により規定された理想の女性像及ぴ商品化された女性のイメージの分析。 (2)女性の逸脱例の分析。 以上の結果から、次のような成果を得た。勢力を持ち始めたブルジョワたちは階級と性という縦横の分割をする中で、同一階層の女性たちを「グロテスクな身体」として私的領域に閉じ込め、公的領域は男性だけの安定した場となった。しかし、教育機会の拡充から、女性たちがこれまでの間違った女性の身体論を否定し、消費の議論を公的な場へと持ちだし始めると男性は女性の存在を抑圧しきれなくなっていく。女性の抑圧された社会的欲求が文化的形式を帯びると、その文化は言説の場へと出ていき、もはや男性にとって無視できなくなったのである。
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