Research Abstract |
平成10年度にはt写本に含まれている第II枝篇と第III枝篇とを採録している全ての写本との校合を行った。すなわち,t写本以外で第II枝篇と第III枝篇とを採録している写本はC(パリ,国立図書館,20043番),M(トリノ王立図書,雑151番),n(ローマ,ヴァチカン図書館,1699番,N 写本の一部),O(パリ,国立図書館,12583番),H(パリ,アルスナル図書館,3334番),I(パリ,国立図書館,12584番),B(パリ,国立図書館,371番),K(シャンティイ,コンデ美術館,472番),L(パリ,アルスナル図書館,3335番),N(ローマ,ヴァチカン図書館,1699番),D(オクスフォード,ボドレイアン図書館,ドウース写本360番),E(ロンドン,大英図書館,追加写本15229番),F(ニューヨーク,ピアポント・モーガン図書館,M932番),G(パリ,国立図書館,1580番)である。 これらのテクストとt写本のテクストとを比較照合した結果は,「『狐物語』t写本の総合的研究所研究成果報告書」(平成11年4月提出予定)に所収の参考資料(1)および(2)を参照。 t写本が『狐物語』の写本系統分類においてはγ系統に属するものであることはすでに指摘されているが,t写本のさらに詳細な特徴の究明が必要である。そのための基礎資料として,本研究から得られた成果は大いに有効である。
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