1998 Fiscal Year Annual Research Report
フランコフォニーと多言語主義に関する理論的・実証的研究
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09610506
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
三浦 信孝 中央大学, 文学部, 教授 (10135238)
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Keywords | フランコフォニー(仏語圏) / マルチリンガリズム多言語主義 / モノリンガリズム一言語主義 / マルチカルチョラリズム多文化主義 / クレオール / 共和主義(共和国) / 植民地主義 / ポストコロニアリズム |
Research Abstract |
平成10年度の研究成果は、フランス共和国のモノリンガリズムを明らかにしたことである。「共和国」は個人を身分と人種と宗教の束縛から解放し平等な「市民」として措定したフランス革命の原理である。ところがその共和国は自由と理性の言語であるフランス語によって国民統合をはかり、方言や地域語の撲滅をはかった。相違を抹消して平等を打立てる共和国原理は言語のレベルでは言語の多様性を否定しモノリンガリズムを追求する言語ジャコバン主義を生んだ。こうした国内の言語植民地主義は、1830年代以後1世紀の植民地拡大期にはフランス語同化政策と対になって推進された。今日フランコフォニーと呼ばれるアフリカからアジア太平洋、アメリカにまたがる仏語圏はかつてのフランス植民地帝国の遺産であり、フランコフォニーが真の多言語主義の空間として発展するには共和国原理が内包するフランス語同化主義が批判されなければならない。フランスが国内とEUで多言語主義を唱えてもなかなか実効を伴わないのは、フランス共和国のモノリンガリズムの伝統ゆえである。私は平成11年の1〜2月をカリブ海のフランス海外県マルチニックで客員教授として教えながら現地でクレオール語クレオール文化について調査したが、クレオールはフランスの普遍主義的共和国原理とフランス語モノリンガリズムを根本から考え直すポストコロニアル的契機になりうる。本格的論文の執筆は平成11年度に持ちこされる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 三浦信孝: "言語戦争が多言語主義か" 月刊「言語」(大修館書店). 27・10. 100-103 (1998)
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[Publications] 三浦信孝: "欧州統合と多民族社会のゆくえ" NHKテレビ「フランス語会話」. 41・5. 108-111 (1998)
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[Publications] 三浦信孝: "共和国原理としてのライシラ" NHKテレビ「フランス語会話」. 41・6. 150-153 (1998)
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[Publications] 三浦信孝: "統合イデオロギーとしての共和国" NHKテレビ「フランス語会話」. 41・7. 118-121 (1998)
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[Publications] 三浦信孝: "植民地帝国としての共和国" NHKテレビ「フランス語会話」. 41・8. 114-117 (1998)
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[Publications] 三浦信孝: "フランスの地域語の運命" NHKテレビ「フランス語会話」. 41・9. 106-109 (1999)
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[Publications] 三浦信孝: "フランス語IIIフランスの鏡に映った日本" 放送大学教育振興会, 137 (1998)
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[Publications] ジャンルイ・ジュベール著,三浦信孝,西山教行編注: "フランコフォニー" 第三書房, 72 (1999)