1998 Fiscal Year Annual Research Report
ベルリン中央衛生局と都市空間-近代的<バイオ権力>の発動の場としての公衆衛生
Project/Area Number |
09610520
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原 克 立教大学, 文学部, 教授 (40156477)
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Keywords | ベルリン / 墓地・埋葬 / 公衆衛生 / メディア論 / ディスクール分析 / 都市論 / 表象活動 / 近代化 |
Research Abstract |
申請者はすでに平成7・8年度一般研究(C)科学研究費補助金の枠組みで「ベルリンの墓地・埋葬形式ー近代的<バイオ権力>の発動の場としての都市空間の諸相」というテーマで研究を進め、十八世紀末以降におけるベルリンの墓地・埋葬形式をとりあげ、公衆衛生・死生観という角度から、近代化の過程をエピステモロジカルに分析してきた。ベルリンは都市空間として、公衆衛生はバイオ権力の発動形態として、また埋葬形式は衛生問題の具体的かつ本質的事例として、研究目的にもっとも適しているからである。本研究では、この先行研究の実績を踏まえ、墓地・埋葬形式というこれまでのテーマと隣接した都市現象のフィールドに視点を拡大し、言説・表象の近代化プロセスをより体系的に検討している。 具体的には、1840年から1945年までの期間において、ベルリンにおける公衆衛生問題の典型として、<一八八三年ベルリン衛生博覧会><公設市場の設置><ミルクと中央衛生局><ゴミ収集システム>という四事例を選び、公衆衛生という「専門的」言説から発しつつも、新聞、雑誌ならびに文学といったメディアにより流布された「健康」の図像を通して、生命と死をめぐり新しい言説の枠組が「総体的・総合的」に都市空間をおおっていくプロセスを、表象の近代化という大きなフィールドから分析、評価できてきている。そこでの分析結果は、平成9年度すでに学術雑誌、新聞等において連載枠を確保し(立教大学ドイツ文学科論集『アスペクト』、『図書新聞』連載「書物のアナトミー」)継続的に発表しつつあり、ひとり申請者が専有することなくまた学会のみならずより広い言論界へとフィードバックし、一般の読者にも公表している。
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[Publications] 原 克: "ミリオラマ、あるいは消費される空間疑似体験" 立教大学ドイツ文学科論集『アスペクト』. 32号. 93-110 (1998)
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[Publications] 原 克: "19世紀、伝統的メディアも視覚データ保存を欲望する" 『図書新聞』連載「書物のアナトミー」. 2377. (1998)
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[Publications] 原 克: "19世紀、知覚の変容を計測する<スピード>という文化現象" 『図書新聞』連載「書物のアナトミー」. 2386. (1998)
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[Publications] 原 克: "伝統的な英国風景画からの差異としての「ミリオラマ」" 『図書新聞』連載「書物のアナトミー」. 2402. (1998)
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[Publications] 原 克: "19世紀のスベクタル装置と<固定した眼差し>" 『図書新聞』連載「書物のアナトミー」. 2428. (1999)