1998 Fiscal Year Annual Research Report
国家の「私化」と法の正当性-現代法変容への法社会的アプローチ
Project/Area Number |
09620003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戒能 通厚 名古屋大学, 法学部, 教授 (00013011)
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Keywords | NPO / 市民的公共性 / 第三の道 / 市民社会 / 地方分権 |
Research Abstract |
この研究の目的の一つは、わが国の国家と法の新しい形の模索を、イギリスなどを比較事例としながら、模索することにある。そこでイギリスにおけるいわゆるNPOに相当するボランタリーアソシエーションに関して、その活動の概況をインターネットや電子メイルを介したコミュニケーションによって把握することによって、統治のレベルでの地方分権の流れといかなる文脈においてそれらが交錯しつつ再定湾されつつあるかについて、ある程度の知見を得ることができた。とりわけ、わが国のNPO法の制定過程でも論議された市民的公共性に相当する議論が、ブレア労働党政権が歩む「第三の道」において日本より一歩先を行く形で論議され、サッチャー=メジャー保守党政権下で解体されたコミュニケーションが、かつての同質的構成員を基底におくのとは異なって、多様性や「浮遊性」を構成原理とするコミュニケーションといった新たな社会形成の契機に位置づけられ、そこから新たな国家および、社会における統合と分散の論理が構築されつつあることを知ることができたのは大きな成果であった。この成果の一部は法社会学会における私を責任者とする企画に反映することができたが、現在はさらにわが国のNPO法成立以降の市民的活動に焦点をあてて、この比較の観点をさらに豊富なものにしようと試みており、最終年度である来年度の成果を得るおよその見通しが立つつある状況である。この研究のもう一つの目的である研究や国際的交流という面では、問題意識の交換が電子メイルヤインターネットなどの手段で間接的であるため隔靴掻痒の感があるが、現在は住宅問題に限定しながらいくつかの団体や特定の研究者と交信しつつ、問題の限定と共有に努力しつつある。これまた、来年度、「現地」での短時間の意見交流に関し一定の見通しが立ちつつある状況である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 戒能通厚: "連帯の法社会学" 法社会学. 50号. 2-8 (1998)
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[Publications] 戒能通厚: "共同性の法社会学" 法社会学. 51号 未定. (1999)
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[Publications] 戒能通厚: "末弘法学の現代的意義" 法律時報. 70巻12号. 7-12 (1998)
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[Publications] 戒能通厚: "弁護士自治の理念とは" 法律時報. 70巻11号. 2-7 (1998)