1997 Fiscal Year Annual Research Report
環境アセスメント法における住民参画制度の運用とその社会的背景についての比較研究
Project/Area Number |
09620010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
平松 紘 青山学院大学, 法学部, 教授 (40082698)
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Keywords | 資源管理法 / 住民参画 / 環境「効果」 / 事前協議 / マオリ共同体 / 地方分権 |
Research Abstract |
一年目の今年度は主に、昨年より続けているニュージーランドについて、環境法専門の二教授のレビューを交え研究をすすめ、又イギリスとデンマークにおける環境アセスメント法についての資料の収集とその分析を行った。 ニュージーランドについては、その法律である1991年「資源管理法」と環境アセスメント細則を分析、翻訳作業を進めながら、昨年書いた「ニュージーランドにおける環境アセスメント」で課題と残した点を深め、環境アセスメントが計画策定や開発といった行為が及ぼす「効果」を推定し、その行為が資源保護と人間生活のバランスをはかる「中和」の手続きとして存在することが確認された。その「中和」を繰り返し求める過程こそが「住民参画」をともなう。 現在・未来の「効果」について語れるものは皆参画する住民参画制度の決め手が、「事前協議」という「中和」の第一ランドにあることが特徴と思われる。それは、計画・開発の素案について、それに影響を受けると思われる土地所有者、マオリ共同体、地区共同体などの利害関係者そして公衆が、正式のアセスの前に協議することであり、それは多くの場合それらのコンサルタントが行い、自治体は必ずしも表にでないことが分かった。又、必要であれば、「自然保全省」の地域事務所や環境団体の専門家も加わる。そのような「事前協議」のあり方については法律には規定がなくその法的性格について裁判で争われることもあるが、そのリーディングケースによって、「事前協議」が正式の手続きとして情報の分かち合いとアクセスの観念を形成する手続きとして実質的な意味を持つとされる。伝統的なマオリ共同体や近年の行政改革による地方分権を社会的背景とする実態が、むしろニュージーランドらしい環境アセスにおける住民参画制度(法)となっているといえる。現在「ニュージーランドの環境法」として、同じ英米法国でも母国のイングランドとはかなり違うことを書いている最中である。この作業を終えたら、デンマークを中心に北欧の環境アセスの検討を行う。
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Research Products
(2 results)