1997 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権と法治国家の確立に貢献する自治体ネットワーク組織のあり方
Project/Area Number |
09620012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木佐 茂男 北海道大学, 法学部, 教授 (30122039)
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Keywords | 法治国家 / 地方分権 / 自治体連合組織 / 自治体法務 / 市長会 / 町村会 / ネットワーク |
Research Abstract |
本年度は、国際自治体連合、ヨーロッパ評議会、ヨーロッパ自治体評議会ドイツ部会などの資料を収集するとともに、共同研究として世界的規模で活動している自治体連合組織(国際自治体連合、世界大都市圏協会、世界大都市サミット会議、都市連合、その他13団体)のアンケート調査を実施した。ただし、集約には時間がかかっているので、本報告の時点までにはまとまっていない。ドイツについては、ドイツ都市会議とニーダーザクセン州市町村連盟の定期刊行物を入手することにより、継続的な把握を行っている。 他方で、日本国内の実態の把握が非常に重要であるが、私自身がすでに行った全国規模の地方6団体以外の各府県の自治体連合組織(市長会、町村会)のヒアリング調査に時間を割いた。この間、5府県の10連合組織を直接に訪問して、これらの団体の組織・人事・財政・活動内容を調査することにより、これらの組織が、地方分権に組織的に対応できる可能性、法治国家体制の確立に貢献するシステムになりうる可能性について検討を深めた。ただ、調査結果によれば、ヨーロッパ諸国に比べて日本の都道府県レベルの自治体連合の組織体制が、分権や法治国家の確立に向けて取り組むには想像以上に貧弱なことが明らかになった。他方で、こうしたいわば固い組織とは別の形の自治体のネットワーク化の動きも見られる。ヒアリングでは、例えば新潟県新井市を中心とする近隣自治体が共同して条例の作成作業をするといった試みが発見できた。 本研究が課題とする自治体ネットワークのあり方は、実に多様であるため、どのように総括することが可能かはなお不確定であるが、次年度には「法治国家」体制の確立という観点を強調して、より総体的な整理ができるように努めたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 木佐茂男(編著): "自治体法務入門" (株)ぎょうせい, 311 (1998)
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[Publications] 木佐茂男: "分権改革の法制度設計" 地方自治総合研究所, 81 (1997)