1997 Fiscal Year Annual Research Report
開発事業に対する科学的評価システムと公益評価システムの関係に関する法理論研究
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09620014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
亘理 格 金沢大学, 法学部, 教授 (30125695)
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Keywords | 環境影響評価表 / 環境保全 / アセスメント / 開発事業 / 住民参加 / 合意形成 |
Research Abstract |
1,1997年6月、環境影響評価法が制定された。この法律は、評価方法書の作成(スコーピング)、評価書に先行する準備書の作成、方法書及び準備書段階で環境保全の見地から意見を有する住民等による意見書提出、対象事業につき免許・届出受理・補助金交付決定等の権限を有する者による意見書提出、右意見書を受けた事業者による評価書の修正・補正、右免許等権限行使に際しての環境保全の見地からの審査義務の一般化(横断条項)等、画期的な内容を有する。法制定をうけて、各地方公共団体においても、条例若しくは要綱に基づき実施されてきた従前の評価制度を抜本的に見直そうとする動きが見られる。元々、地方公共団体の場合には、評価手続の対象事業を広く捉え、宅地造成事業や大規模娯楽施設の建設事業等民間事業をも取り込む傾向にあったが、今回の見直しに際してはかかる原則を維持した上で、法にならってスコーピング手続の導入、住民参加の拡充、事後のアセスメント制度導入等の改善措置が検討されていることが、明らかとなった。 2.以上にような評価制度の進展状況は、科学的評価システムの中に合意形成システムを組み込もうとする意識の現れであるが、未だに、公益性評価システムとの関連づけまでには至っていない。そこで、科学的評価システムと公益性評価システムとを区別しつつその相互関連づけを目指してきたフランスの法制度に関する文献研究を行った。その結果、フランスにおいては、環境保全の見地から一般手続化した公開調査手続(事業計画の許認可に先行して行われる縦覧・意見書提出手続を充実させた制度)に環境影響評価手続の結果を反映させるという方法により、右二つの評価システムの関連づけが図られていることが判明した。
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[Publications] 亘理 格: "フランス行政裁量論における「費用便益衡量」型調査手法の存在意義-開発事業の「公益性」審査論を手がかりに-(3・完)" 金沢法学. 40・1. 1-100 (1998)
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[Publications] 不動産学事典編纂委員会: "不動産学事典" (有)大学出版センター(未定), (1998)