1997 Fiscal Year Annual Research Report
民事訴訟におけるテレビ会議システムによる証人尋問の諸問題
Project/Area Number |
09620028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
菅原 郁夫 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90162859)
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Keywords | 民事訴訟 / 証人尋問 / テレビ会議システム / 証言心理学 / 法心理学 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に従い、通信環境、実験環境などの整備とテレビ会議システムによる尋問関係の先行研究の整理を行った。 まず、通信・実験環境に関しては、当初、学内のATMシステムを用いたコンピュータ・ネットワークによるシステムの構築を予定していたが、年度後期より、新民訴訟の実施に伴い、裁判所で導入するシステムが電話回線を利用するものになることが明らかになったため、予定を変更し、ISDN回線を用いた電話によるテレビ会議システムを導入した。同システムにより、本学部内の法定教室と研究室が結ばれ、尋問実験の可能な体制が整えられた。 また、先行研究に関しては、以下のような知見が得られている。たとえば、カウンセリングの領域において、すでにテレビ会議導入のための研究がなされており、その中で、音声だけの通信は、目的志向が高まるのにくらべ、映像を伴う通信はより情緒的な情報の伝達を適していること、あるいは、画像による情報伝達は客観的な印象を与えやすいことなどの知見が得られていることを確認した。さらに、法律学上の研究では、アメリカにおける先行研究から、テレビ会議システムによる尋問の場合には、自己に不利な証言をなすもの対する対面権といった利権が侵害されるなどの議論が生じ得ることを確認した。 なお、当初は、本年度後半において、次年度の実験に向けての予備実験を行うことになっていた。しかし、この点は、上記電話会議システムによる映像伝達は、通常のテレビ放送などよりもかなり、動作伝達がおとることを確認するにとどまった。次年度は、ビデオカメラとテレビ画面を直結したより情報量の多い条件での尋問と、上記電話回線によるテレビ会議システムを用いた尋問とを比較し、判断者の心証形成度の違い、尋問者や証人の印象の違いなどについて心理学実験を実施する予定である。
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