1997 Fiscal Year Annual Research Report
特定商業集積整備法等による「街づくり」と中小小売商業者の経済法的・法社会学的研究
Project/Area Number |
09620052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
山本 晃正 鹿児島経済大学, 経済学部, 助教授 (10240110)
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Keywords | 特定商業集積 / 大店法 / 地域小売商業 / 街づくり / 都市間競争 / 高度商業集積型 / 地域商業活性化型 / 中心市街地活性化型 |
Research Abstract |
1991年大店法緩和を直接の契機に、以前と比較して2倍〜3倍ほどの大型店(例えば1989年度の出店数794店に対して1996年度では2269店)が全国で毎年出店し、大型店の「出店攻勢」ともいうべき状況にある。このため特に中心市街地などの地域商店街の地盤沈下は凄まじく、地域の中小小売商業の衰退は著しい。 こうした大店法緩和等が地域商業に及ぼす否定的影響を予想して、同時に、「商業集積を核とする街づくり」を目的とする特定商業集積整備法が制定され、1997年11月20日現在で51件・50市町で同法に基づく特定商業集積整備基本構想が策定され、事業実施が終了し、あるいは実施途上にある。 同法は都市間競争の激化を所与の前提として地域商業がこれにどう立ち向かうのかという理念・スタンスを持ち、そのため特に高度商業集積型(ハイ・アメ型)の場合には、大型店と中小小売店との「共存共栄」理念に導かれて、地方都市の郊外に大型小売資本を呼び込み、その主導で巨大ショッピングセンター=「箱型の街」を建設している。その強力な集客力の発揮により、周辺に流出していた購買力の「取り戻し」に一定成功してはいるが、中心市街地等の地元商店街は一般に疲弊したままであり、「街づくり」の課題からみて限界を持つ。 他方、核店舗のない地元商店だけによる活性化=地域商業活性化型の多くは行政主導的であり、地元商店の「やる気のなさ」を概嘆する声は強い。むろんハイ・アメ型にせよ地域商業活性化型せよ、一部には地元商業者が地域住民の要望にいかに応えるのかという自らの公共的役割を自覚し、取り組む例はあるが、少数に過ぎない。 今後は地域商業活性化型を中心としたさらなる実態解明と、国の目指す大型小売店舗立地法(仮称)あるいは中心市街地活性化法(仮称)等の検討も射程に入れて進める。
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