1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09620055
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
甲斐 克則 広島大学, 法学部, 教授 (80233641)
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Keywords | 過失犯 / 注意義務 / 予見可能性 / 信頼の原則 / 過失責任 / 責任原理 / 認識ある過失 / 認識なき過失 |
Research Abstract |
1. 昨年度の研究により、責任原理の基礎づけができ、また「認識ある過失」と「認識なき過失」の区別から「認識なき過失」の不可罰性をある程度基礎づけることができたが、本年度はこれを補充し、さらなる理論づけを試みると同時に、いくつかの実証的研究を実施した。 2. 具体的には、理論的研究として、前年度に実施した共同研究「過失犯理論の総合的研究」(シンポジウム)での報告内容を「過失『責任』の意味および本質-責任原理を視座として-」という論文にまとめるできた(刑法雑誌38巻1号)。そこでは、過失「責任」の変遷を分析しつつ、その本質を問い直すことに成功した。また、ドイツのアルトゥール・カウフマンの大著『責任原理-刑法的・法的学的研究』の翻訳も刊行でき(九州大学出版会)、過失責任の刑法哲学的意味を世に問うことができた。さらに、「放火罪と公共危険発生の認識の要否」の問題も論文にまとめることができた(産大法学32巻2・3号)。 3. また、実証的研究として、火災事故、各種工事に伴う事故、医療事故ないし医薬品事故、海上交通事故を対象に取り上げた。このうち、火災事故については、「放火罪と公共危険発生の認識の要否」(前出)でまとめたほか、医療事故については、とりわけ臨床研究に起因する医療事故について、「臨床研究・人体実験とドイツ法」という論文でまとめることができ、法的整備の必要性を説いた。また、イギリスのチャールズ・ヴィンセントほか『医療事故』を共訳して出版できた(ナカニシヤ出版)。これは医療事故防止を主眼としたもので、今後の日本での議論に益するところが大きい。 4. 最後に、海上交通事故については、昨年度の東京湾に続き、今年度は、北陸海域と伊勢湾の事態調査ができた。近いうちに研究成果を一書にまとめる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 甲斐克則: "臨床研究・人体実験とドイツ法" 年報 医事法学. 13号. 69-82 (1998)
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[Publications] 甲斐克則: "過失「責任」の意味および本質-責任原理を視座として-" 刑法雑誌. 38巻1号. 1-11 (1998)
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[Publications] 甲斐克則: "放火罪と公共危険発生の認識の要否-実質的責任原理の観点から-" 産大法学. 32巻203号. 91-110 (1999)
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[Publications] 甲斐克則: "刑法的観点からみた多胎減数術-法と倫理の葛藤・ジレンマの一側面-" 広島法学. 22巻4号. 25-41 (1999)
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[Publications] 甲斐克則: "「出産」する身体を法律はどのように支えてきたか" 『講座人間と環境第5巻・出産前後の環境』(吉村典子編・昭和堂). 印刷中. (1999)
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[Publications] 山内隆久: "医療事故" (安全学研究会) ナカニシヤ出版, 332 (1998)
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[Publications] 甲斐克則: "アルトゥール・カウフマン 責任原理-刑事的・法哲学的研究" 九州大学出版会, 502 (1999)