1997 Fiscal Year Annual Research Report
欧米における生命倫理に関する法制:先端生命科学技術に対する法的規制
Project/Area Number |
09620057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
新倉 修 國學院大学, 法学部, 教授 (10119050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白取 祐司 北海道大学, 法学部, 教授 (10171050)
島岡 まな 盛岡大学, 文学部, 講師 (20222036)
上野 芳久 湘南工科大学, 工学部, 助教授 (60176625)
秋葉 悦子 富山大学, 経済学部, 助教授 (20262488)
青木 人志 一橋大学, 法学部, 助教授 (00210998)
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Keywords | 生命倫理 / 脳死 / 遺伝子操作 / 人体実験 / 動物実験 / フランス生命倫理法 / ヒトゲノム宣言 / 環境 |
Research Abstract |
先端生命医学・技術に対する国家政策の対応が進んでいる欧米のうち、とりわけ包括的な国家法を制定したフランスを中心に、欧米近隣諸国およびヨーロッパ評議会・ヨーロッパ連盟の対応の違いに留意しながら、法制度の形成過程および実施過程における動向を分析していている。論点は多岐にわたり、いわゆる生殖医学のみならず、遺伝子操作や出生前診断、DNA鑑定の利用可能性までにも及ぶ。フランスにおいてもかならずしも統一的な法的規制が行われていないことが判明しつつある。さらに、ユネスコでの生命倫理研究作業にも関与し、この分野での第一人者とも言うべき〓島次郎氏(三菱生命化学研究所)に適宜アドヴァイスを受けている。とりわけ世界的にはまだ規制がバラバラな状態である中で、ユネスコが人類的価値を掲げて、研究を奨励するとともに、先進国による先端知識・技術の独占に強い警戒心を示し、普遍的な財としてのヒトゲノムという構想に立って、「ヒトゲノム宣言」を採択したが、その思想的・政治的な背景やその法的・文化的な意義を検討するうえで、有意義な示唆を受けた。また、フランス法務省の専門担当官であるクリスティアン・ビ-ク判事が生命倫理学会の国際シンポジウム(筑波大学)に来日した機会に、同氏の講演を企画し、意見を交換した。平成10年度には東京で世界生命倫理シンポジウムがあり、その中でビ-ク氏が「生命倫理と環境」に関する分科会を開く予定であるので、環境の視点から生命倫理の課題に接近するために、日仏共同調査の下準備を進めている。ユネスコ主催の東アジア生命倫理シンポジウム(神戸市)にも参加した。 共同研究のテーマは、「フランス生命倫理法」の母胎となった「ブレバン報告書」の検討にあて、さらに日本における法的規制の現状を海外に発信する準備を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] フランス刑法研究会(島岡まな): "フランスにおける生命倫理と法(2)-五 生殖に対する医学的介助" 國學院法学. 35巻2号. 103-109 (1997)
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[Publications] フランス刑法研究会(岸本基予子): "フランスにおける生命倫理と法(2)-六 医的記名情報" 國學院法学. 35巻2号. 109-119 (1997)
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[Publications] フランス刑法研究会(新倉修): "フランスにおける生命倫理と法(3)-七 生命技術と証拠法" 國學院法学. 35巻3号. 155-165 (1997)
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[Publications] フランス刑法研究会(青木人志): "フランスにおける生命倫理と法(2)-八 動物実験" 國學院法学. 35巻2号. 119-125 (1997)
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[Publications] フランス刑法研究会(秋葉悦子): "フランスにおける生命倫理と法(4)-十 生命技術と環境" 國學院法学. 35巻4号. 101-112 (1998)