1997 Fiscal Year Annual Research Report
五五年体制下の政党間競争と国会運営の新制度論的研究
Project/Area Number |
09620059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川人 貞史 東北大学, 法学部, 教授 (10133688)
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Keywords | 議会 / 選挙 / 選挙制度 / 政党政治 / 国会運営 |
Research Abstract |
(1)中選挙区制に関する内外の諸研究を俯瞰してそれぞれのアプローチの特徴および問題点を析出する作業を行い,リビュー・ア-ティクルとしてまとめている.中選挙区制研究には,候補者中心の選挙や優位政党内の候補者競合に焦点を当てて,それが政党組織や政治過程にもたらす影響を分析・考察するアプローチがある.派閥政治や弱体な党組織は中選挙区制の結果とされる.他方で,単記非委譲式投票(SNTV)の持つ特性に注目すると,政党は,各選挙区で適正数の候補者を擁立し,各候補の得票を均等化することにより,ドント式比例代表制下における議席を確保することができる.そこで,自民党が長期政権を維持できたのは,結局,こうした候補者の調整に成功したためであると考えるアプローチがある.両者のもっとも大きな違いは,前者が政党の役割ないし能力を低く捉えるのに対して後者がかなり高い評価を与えていることである. (2)五五年体制下における自民党の選挙戦における状況を分析するため,自民党が候補者擁立および得票の均等化において犯した戦略的失敗の長期的変化を数量的に分析した.あわせて,戦前の中選挙区制における政友会・民政党の成績も新たに分析し直した.その結果,戦前の中選挙区制においては大政党は不利にならず,戦後において自民党が単独の優越政党として不利になっていたことがわかった.また,いずれの場合も政党の候補調整能力は高くない. (3)社会党議員のキャリアパス分析のためのデータ作成に着手したが,まだ完成するまでに至っていない.次年度に期したい.
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