1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09620065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平島 健司 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (40156659)
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Keywords | 大蔵省 / 財政政策 / 国家 / グローバル化 / ドイツ |
Research Abstract |
本年度前半には、日本の事例につき、財政構造改革が提唱されるに至った歴史的沿革と政治的背景の理解に努めた。後半は、予定通り、ドイツ、ケルンにあるマックス・プランク社会研究滞在し(10月1日-3月31日)、80年代以降から今日に至るまでのドイツ財政政策の概要、制度的条件、政治的要因などについて、研究会で口頭発表しドイツの研究者のレヴィーユを受け、分析の一層の精緻化ができ、研究を進捗させた。 しかし、当初から予想されていたことであるが、日独両国の大蔵省が、それぞれの政治行政システム全体の中で占める制度的地位、なかでも国家財政に直接の影響を及ぼす与党(と政党政治)の性格、両国がおかれた国際的な環境、財政政策を主導する政策理念、狭義の財政政策と金融政策、国際管理政策との連関などについて、質的な相違が余りにも大きいことを改めて理解するに至った。現在、日本の政策当局が、なしくずし的に金融ビックバンへの準備を早め、グローバル化した金融市場への適応を試みているのに対し、ドイツでは、EU通貨統合へのステップが着々進められている。 高度成長期に形成された財政システムの全般的な融解(日本)と戦後システムの漸進的適応(ドイツ)という対照が、有意な比較となるように、来年度は比較の枠組みを再考し、日本の大蔵省に関する資料収集と分析を行い、研究の取り纏めに進みたいと考えている。
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