1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09620079
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 武彦 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (10210535)
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Keywords | 制裁 / 戦略 / 不拡散 / 経済ナショナリズム / 国際安全保障 / 輸出規制 / 地経学 |
Research Abstract |
平成10年度は、前年度に引き続き図書・雑誌などの文献情報の収集に力点を置いて予算執行にあたると共に、収集文献の整理とデータ処理のための人件費にも予算を充当した。平成9年度からの蓄積と平成10年度の追加蓄積を基に当該課題の研究を進め、同時に、中間的な研究成果を論文の形で発表することに努めた。平成9年度は、経済制裁と軍事制裁との理論的関係性を国際社会で実施された制裁事例を通して実証的に解明することに力を注いだが、昨年1年間では17世紀中葉以降に成立した国際社会における制裁事例のすべてにわたって、制裁の目的、実施過程、制裁の効果・実効性を検証することはできず、平成10年度に引き継がれたが、その膨大な数の事例ゆえに検証作業は完結するに至っていない。引き続き、研究を進めると同時に、従来の経済制裁の研究にはなかった独創性の高い研究成果をできうる限り早期に世に問う決意でいる。 なお、平成10年度には経済制裁の歴史的事例研究にあわせ、冷戦後に実施された経済制裁のうちとくに「友」・「敵」関係が鮮明に浮き彫りにされた事例、たとえばイラク、北朝鮮などのアメリカが「ならず者国家(rogue states)」に指定し、厳しい「封じ込め」の対象としてきた国家への制裁事例を、戦後国際システムの構造的変容と関連づけながら分析した。当該研究の成果は、研究発表欄に記載の通りであるが、平成9年度の補助金支給とあわせ、平成10年度の補助金による資料購入とマンパワーの動員にあずかるところが極めて大きかった。
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[Publications] 山本武彦: "環太平洋リージョナリズムと経済ナショナリズムの相克-アジア・太平洋における経済相互依存体系の重層化と地経学的相互作用をめぐって" 泉昌一、佐藤栄一編『冷戦後アジア環太平洋の国際関係』三嶺書房. 13-34 (1999)
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[Publications] 山本武彦: "核不拡散へ指揮棒を振れ" This is 読売. 1999年3月号. 146-153 (1999)
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[Publications] 山本武彦: "日常生活の世界化と国際安全保障" 臼井久和・星野昭吉編『世界政治学』三嶺書房. 301-323 (1999)