1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足立 英之 神戸大学, 経済学部, 教授 (70030666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 武 神戸大学, 経済学部, 教授 (40093281)
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Keywords | プロダクト・イノベーション / プロセス・イノベーション / 効率賃金理論 / プロダクト・サイクル / 南北間賃金格差 / 熟練労働 / 未熟練労働 / 南北経済の成長 |
Research Abstract |
研究代表者足立は、研究課題の基礎となる理論的研究として、2つの研究を行なった。第一は、効率賃金理論のもとでの実質賃金と失業の関係を明らかにすることである。効率賃金理論の核となるのは、労働効率が実質賃金の増加関数であるという仮設であるが、J.E.Stiglitsが示したようにこれは途上国の発展問題を考える場合に参考となる仮設である。足立は、近刊の論文において、ケインズの相対賃金仮設を効率賃金理論に結びつけることによって、効率賃金理論をより現実的な理論にする試みを行なった。第二は、product innovationとprocess innovationが経済成長と雇用に及ぼす効果に関する研究である。一般に、前者は雇用創出効果をもつのに対して、後者は雇用削減効果をもつといわれているが、このような主張を厳密に定式化したマクロモデルはない。現在、このようなマクロモデルを構築する努力をしているが、これは南北の経済発展を考える場合に大いに参考となると思われる。 研究分担者の中谷は、従来の主要な南北モデルを再検討し、新商品の開発、導入および移転というプロダクト・サイクルの観点から整理と検討を行なっている。北のinnovationと南のimitationに着目し、それが南北経済の成長率や南北間の所得分配・賃金格差などにどのような影響を及ぼすかという問題が、KrugmanやGrossman and Helpmanなどによって分析されている。中谷は彼らのモデルを検討し、彼らの結論の違いがどこから生まれるかを明らかにした。また、南の熟練労働者の増大が北の未熟練労働者への需要にどのような影響を与えるかという問題をA.Woodなどの研究をベースにして研究している。それらの成果は、近く論文として公表される予定である。
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Research Products
(1 results)