1997 Fiscal Year Annual Research Report
特許制度の研究開発投資、経済成長および社会的厚生への影響
Project/Area Number |
09630020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二神 孝一 大阪大学, 経済学部, 助教授 (30199400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大日 康史 大阪市立大学, 経済学部, 助教授
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Keywords | 特許 / 研究開発投資 / 経済成長 |
Research Abstract |
今年度は,特許期間を考慮に入れたモデルに特許許可を規制当局が与えるかいなかについて判断するケースで,企業が考慮して既存の製品に似たような新製品を開発するとき,その企業の研究開発投資がどのような影響を受けるかを分析するモデルを構築した.新しい製品が,すでにある製品の特許を侵害する恐れがあるので,そうならないように新しい製品をコピーすると新製品の開発のコストが増加する.一方,まったく新しい質の製品を開発,すなわち革新製品の開発を行おうとする企業にとってはこのことは製品開発のコストを下げる方向に作用する.このような相互依存関係を考慮に入れてモデルを作成すると特許の長さのみを考慮したモデルに特許の幅を導入することになる.その結果,産業を細かく分類することが必要になる.1つは開発に成功し新しい質の財を一つの独占企業が生産している産業.次に,特許の幅を超えて類似の製品を生産する企業が存在する寡占産業.最後に特許が切れて多くの企業が競争的にその製品を生産している産業.さらに個々の産業を新しい質の製品が開発された以降の経過年齢によって分類される.このような細かな分類を行った場合に解析的な分析には限界があるので数値解析の方法を用いる必要が必然的に生じる.モデルの数値分析を行うことで特許の審査を厳しく適用することが研究開発投資や経済厚生に与える影響を調べることが可能になる.また以上のモデルを2国モデルに拡張しようと試みているがまだモデルを閉じる段階にはいたっていない.
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